塩野義製薬は、小児期のADHD(注意欠如多動症)を対象とした国内初のデジタル治療補助アプリ「ENDEAVORRIDE®(エンデバーライド)」の販売を開始した。
国内第3相臨床試験では、6〜17歳の小児ADHD患者を対象に有効性と安全性が検証され、既存治療を補完する治療補助アプリとして提供される。
国内初のADHD治療アプリが販売開始
塩野義製薬は2026年6月5日、小児期におけるADHDの治療補助を目的とした医療機器プログラム(※)「エンデバーライド」の販売を開始した。
同アプリは米国企業Akiliが開発したデジタル治療技術を活用しており、塩野義製薬が日本および台湾における独占的な開発権・販売権を保有している。
エンデバーライドは、日本で初めて承認されたADHD向けの治療補助アプリである。
国内第3相臨床試験では6〜17歳の小児患者を対象に有効性と安全性が検証され、既存治療を補助するアプリとして提供される。
薬の代替ではなく、あくまで治療を補助する役割を担う。
承認の根拠となった国内第3相臨床試験では、164人の小児ADHD患者を対象に有効性と安全性を検証した。
主要評価項目である「ADHD-RS-IV不注意スコア」の変化量において、アプリを利用したグループは通常治療のみのグループと比較して6週間後に統計的有意差を示した。
これにより試験の主要目標を達成し、国内承認へとつながった。
※医療機器プログラム:疾病の診断や治療を目的としたソフトウェア。医療機器として国の承認や規制の対象となる。
治療の選択肢拡大へ 普及には課題も
今回の発売によって、小児ADHD治療の選択肢は大きく広がったといえる。
これまで治療の中心は薬物療法や心理社会的支援だったが、デジタル治療が加わることで、患者や保護者はより多様な方法から治療方針を選べるようになる。
特に薬物治療に抵抗感を持つ家庭や、副作用への不安を抱える保護者にとっては、新たな選択肢として受け入れられる可能性がある。
スマートフォンやタブレットを活用するため、子どもが日常生活の中で継続しやすい点も利点となるだろう。
一方で、デジタル治療の効果を十分に引き出すには継続利用が前提だといえる。
利用習慣が定着しなければ期待した成果を得られない可能性があり、保護者や医療機関によるサポート体制も重要になると考えられる。
また、スマートフォン利用時間の管理や、治療効果の個人差への対応も今後の課題として挙げられるだろう。
それでも、医薬品中心だった治療モデルにソフトウェアが加わった意義は大きいだろう。
塩野義製薬は医薬品提供企業からヘルスケアサービス企業への転換を掲げており、今回の取り組みはその象徴的な事例といえる。
今後、ADHD以外の疾患領域にもデジタル治療が広がれば、日本の医療提供のあり方そのものに変化をもたらす可能性がある。
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