国土地理院は「3次元地図可視化サイト」の試験公開を開始した。
日本全国の地図基盤データをもとに整備された「3次元電子国土基本図」をウェブブラウザ上で閲覧できる仕組みで、建物や道路、鉄道を立体的に表示できる。まずは京都府福知山市周辺を対象に公開されている。
建物や道路を立体表示する新地図を公開
国土地理院は2026年6月1日、「3次元地図可視化サイト」の試験公開を開始した。
利用者は専用ソフトを導入することなく、ウェブブラウザから建物や道路、鉄道の立体的な地図表現を閲覧できる。
同サイトの基盤となるのは、2026年4月1日に提供開始された「3次元電子国土基本図(※)」である。
従来の電子国土基本図に対し、建物や道路中心線、鉄道中心線へ高さ情報を付与したデータとなっており、都市空間をより現実に近い形で把握できる点が特徴だ。
また、立体表示だけでなく、既存の地図や空中写真との重ね合わせ表示にも対応する。
これにより、平面的な地図では把握しづらい地形や構造物の位置関係を視覚的に確認しやすくなった。
今回の試験公開範囲は、提供済みデータのうち京都府福知山市周辺にあたる2次メッシュ「523570」「523571」の2面分に限定される。
国土地理院は試験運用を通じて、今後の安定的なサービス提供に向けた技術的・運用上の課題を検証するとしている。
※3次元電子国土基本図:国土地理院が整備する電子国土基本図に高さ情報を付与した3次元地図データ。建物や道路、鉄道などを立体的に表現できる。
3次元地図データ、デジタルツイン活用への応用にも期待
今回の取り組みは、単なる地図の高機能化にとどまらない可能性を持つ。
都市空間を仮想空間上に再現するデジタルツイン(※)の活用が広がるなか、3次元地図データは今後、都市分析や防災、インフラ管理を支える基盤として重要性を増すと考えられる。
例えば都市開発や防災計画では、建物の高さや道路構造を立体的に把握できることで、浸水シミュレーションや避難経路の検討をより精密に行える可能性がある。
こうした3次元地図データは、物流や自動運転分野においても活用の余地が広がると考えられる。
一方で、全国規模で安定した閲覧環境を提供するには大量のデータ処理やサーバー負荷への対応が必要となるだろう。
また、データ更新の頻度や精度をどのように維持するかも課題になり得る。
今回の試験公開は福知山市周辺に限定されているが、今後対象地域が拡大すれば、日本全国の空間情報活用を加速させるインフラへ発展する可能性がある。
地図が「見るもの」から「分析・活用するもの」へ変化する転換点となるか注目される。
※デジタルツイン:現実世界の建物や道路、設備などをデジタル空間上に再現し、シミュレーションや分析に活用する技術。スマートシティや防災分野で利用が広がっている。
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