山本製作所が挑むAI×コインランドリーの価格革命

2025年5月16日、山本製作所は、コインランドリー向けアプリ「スマートランドリー」にAIを活用した新機能を追加したと発表した。混雑状況を予測して料金を変動させる「ダイナミックプライシング」と、スマホ完結型のプリペイド機能「スマランプリカ」により、利用者と経営者の双方にとって効率的な運営を実現する。
AIによる需要予測が、コインランドリーの稼働率と顧客満足を両立させる鍵に
山本製作所が新たに導入したダイナミックプライシングは、AIを活用して時間帯別の混雑状況を予測し、それに応じて洗濯料金を変動させる仕組みだ。
具体的には、利用が少ないオフピーク時間帯には料金を割引き、混雑を回避したい利用者をその時間帯に誘導することで、ピーク時間の集中を緩和し、全体的な稼働効率を高めることを狙っている。
このシステムは、過去の利用履歴、曜日、天候などのデータをAIが解析し、数時間先の需要を予測することで実現している。たとえば、雨天の日曜午後は混雑が予想されるが、その情報に基づいて早朝や平日昼間の料金を割安に設定することで、利用者の分散を図る。
これにより、待ち時間のストレスが減少し、利用者の利便性が向上するだけでなく、稼働率の安定によって経営者の収益性向上にも寄与する。
加えて、アプリ上でリアルタイムに料金が表示されるため、利用者は混雑状況と価格を比較しながら利用タイミングを選べるようになる。この仕組みによって、「今この時間がお得」という明確なインセンティブが生まれ、行動変容を促す効果が期待される。
経営の可視化とキャッシュレス化を促進するスマランプリカの可能性
今回のアップデートでは、スマートフォンで完結するプリペイド機能「スマランプリカ」も実装された。従来のようなカード発券機や磁気カードの管理が不要となり、アプリ内でのチャージや残高確認が可能になることで、利用者の利便性が大きく向上する。
この機能は経営者にとっても大きな利点がある。専用の管理画面を通じて、リアルタイムで売上状況や利用履歴を確認できるうえ、プリペイドポイントの割引率や利用条件を柔軟に設定することができる。これにより、時間帯別や曜日別のキャンペーンを即座に展開し、ユーザーへの訴求力を高める施策が打ちやすくなる。
こうした機能追加は「コインランドリー経営のDX(デジタルトランスフォーメーション)」として評価できる。特に、人的コストを抑えながらも、きめ細かいマーケティング施策を打てる点は、中小事業者にとって大きな魅力となりそうだ。
今後はアプリ内でのクーポン配布やリピーター優遇など、さらなる機能拡張が視野に入る可能性もある。
利用者にとっては「いつ洗濯すればお得か」が一目でわかり、経営者にとっては「どの施策が効果的か」がリアルタイムで把握できる。この双方向の最適化が、コインランドリー業界の新たな成長エンジンになるか注目される。
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