XRPとドージコインが急騰した後、中国の報復関税発表により再び下落した。この動きは暗号資産市場全体に影響を与え、特にリスク資産に対する投資家の心理に変化をもたらした。
本記事では、今回の件の背景と、市場への影響について解説する。

急騰の背景と市場の反応

XRPとドージコインの急騰は、主に市場のリスクテイク派による押し目買いが影響している。特に、2月3日に22億ドル（約3410億円）が精算（※）されたことが、投資家の利益確定を促し、価格を押し上げた。
この精算は、過去の市場の変動を利用して利益を得ようとする投資家たちの動きを示している。彼らは、価格が一時的に下落したタイミングで買い増しを行い、その後の価格上昇で利益を確定させる。このような取引が、XRPとドージコインの価格を急速に押し上げた要因の一つと考えられる。

しかし、急騰の背景には、市場全体の楽観的なムードも影響している。過去の成功体験や将来への期待感が、投資家心理を刺激し、リスクを取りやすい状況を生み出した。

※精算： 金融市場において、未決済の取引を清算し、損益を確定させること。暗号資産市場では、レバレッジをかけた取引が多く、価格変動によって多額の損失が発生する可能性があるため、定期的に精算が行われる。

中国の報復関税と市場への影響

急騰の後、中国政府がアメリカに対して報復関税を課すと発表したことで、暗号資産市場は再び不安定な状況に陥った。具体的には、アメリカ産の石炭や液化天然ガスに15％、原油や農業機械に10％の関税が課されることが決定された。この発表は、米中間の貿易摩擦が激化する懸念を高め、投資家心理を悪化させた。

投資家は、貿易戦争の再燃を警戒し、リスク資産である暗号資産の売却を進めた。その結果、XRPとドージコインは急速に下落し、ビットコインなどの主要な暗号資産も値を下げた。特に、ビットコインは10万ドルを割り込むなど、価格の回復が鈍化している。

この報復関税の発表は、株式市場や他のリスク資産にも影響を与え、世界経済の先行きに対する不透明感を増大させた。投資家は、リスク回避の姿勢を強め、安全資産とされる債券や金などに資金をシフトさせている。

本件のメリットとデメリット

・メリット
今回のXRPおよびドージコインの急騰は、市場の回復力と流動性の高さを示している。
短期間で価格が急上昇した背景には、投資家のリスク許容度の向上や、暗号資産市場の成熟がある。特に、過去の市場変動を利用した押し目買いが活発に行われたことは、市場が一定のパターンを持って動いている証拠と言える。
これは、経験豊富な投資家にとっては利益を得る機会だ。

また、短期間で大規模な資金が流入・流出することは、暗号資産市場のダイナミズムを示しており、特定の要因が市場にどのような影響を与えるかを分析する材料となる。これにより、今後の市場予測やトレーディング戦略の精度向上が期待できる。

・デメリット
一方で、今回の急騰・急落は、暗号資産市場の不安定性を改めて浮き彫りにした。
XRPやドージコインの価格変動は、実体経済やプロジェクトの進捗ではなく、短期的な投機や外部要因によって大きく左右されている。このような市場のボラティリティの高さは、新規投資家にとって大きなリスクとなり得る。

さらに、中国の報復関税による市場の動揺は、暗号資産がグローバルな経済・政治要因と密接に結びついていることを示している。
従来、暗号資産は「中央集権的な経済システムから独立した資産」としての側面を持つと考えられてきたが、今回のケースでは貿易戦争の影響を受け、急速に価格が下落した。
このことは、暗号資産が従来の金融市場と同様に、地政学的リスクにさらされていることを示しており、その独立性に疑問符がつく結果となった。