XRPで変わる国際決済 Webusが非株式で3億ドル調達発表

2025年5月29日、中国を拠点とする国際配車サービス企業Webusは、XRPを活用した国際決済ネットワーク構築のため、最大3億ドルの非株式資金調達を計画していると発表した。
ブロックチェーン活用によるグローバル展開を加速する狙いだ。
XRP活用し国際決済に革新、Web3機能も統合へ
Webusは、配車やツアーサービスを展開する国際企業である。
今回の発表では、XRPを基盤とした準備金の設立により、国境を越えた決済ネットワークを構築する方針を明かした。
調達予定額は最大3億ドル(約435億円)で、株式の希薄化を避けるため、新株発行ではなく融資や信用枠を活用するとしている。
この取り組みの中核となるのが、XRPの即時送金機能を配車サービスに組み込むことである。利用者によるオンチェーン(※)での予約記録、Web3ベースのロイヤルティプログラム、さらにはドライバーへの報酬支払いまでも分散型で処理される予定だ。
CEOのナン・ジェン氏は、「この取り組みは、新株発行ではなく、融資、信用枠、株主保証などによって行われ、国際決済を簡素化しつつ株式価値を維持することを目的としている」と強調した。
資金調達は現段階で拘束力を持たないが、最終的な合意とデューデリジェンスを経て実行に移される見通しである。
また、Webusは中国大手のオンライン旅行代理店トンチョン・トラベル(同程旅行)との提携を強化する。
「Wetour x Tongcheng」ブランドのチャーターサービスを拡充し、XRP Ledgerを活用した国際的な決済処理とドライバー報酬支払いを導入するという。
グローバル決済の分散化進む一方、導入の壁も
今回のWebusの計画は、XRPの企業利用が加速する中での動きだ。
先立って、サウジアラビアのVivoPowerが1億2100万ドルのXRP準備金を計画したこともあり、企業の間でXRPを決済基盤に採用する動きが相次いでいる。
Webusの取り組みはその流れを象徴するものであると考えられる。
国際送金におけるXRPの即時処理能力や低コスト性は、配車業界にとって大きなメリットとなるだろう。
特に為替コストや送金遅延の解消は、ドライバー報酬や利用者支払いの最適化に直結する。加えて、オンチェーンでの記録やロイヤルティプログラムの実装により、ユーザー体験の透明性やエンゲージメントも高まると考えられる。
一方で、ブロックチェーンの法規制やXRPの流動性、安定性の課題は依然として残る。
特に、国によっては仮想通貨を活用した決済や報酬支払いに対して規制が厳しく、導入が限定的になる可能性もある。
今後、Webusの構想が実現すれば、国際配車市場におけるWeb3技術の活用事例として注目されるとともに、他企業の追随も促すことが期待できる。
しかし、実際の導入とスケール拡大には、技術・規制・市場の各側面における慎重な舵取りが求められるだろう。
※オンチェーン:ブロックチェーン上で直接記録・処理される取引や情報のこと。透明性と改ざん耐性が高い一方で、実行速度やコストが課題となることもある。