東京ドームにAI×Web3拠点 DAO型コワーキングスペース「enXross DAO」開設へ

2025年5月30日、株式会社東京ドームはWeb3・XR・AIに特化した会員制コワーキングスペース「enXross DAO(エンクロス・ダオ)」を同年11月に開設すると発表した。施設は東京ドームシティ内に位置し、分散型自律組織(DAO)形式の運営が特徴である。
Web3・XR・AIの共創拠点が東京ドームに誕生
「enXross DAO」は東京ドームシティの複合施設MEETS PORTの4階に設けられ、面積は約53.91坪、最大40席を備える予定である。開設は2025年11月、利用料は原則無料となる見込みだ。
利用の対象となるのは、Web3・XR・AIといった最新技術とエンターテインメント領域を融合させた事業を展開する国内外のスタートアップや、東京ドームシティとの親和性を持つクリエイター、エンジニア、デバイス開発者など。
単なる作業場所にとどまらず、DAOの仕組みによって利用者が運営方針やコミュニティ形成に参加できる参加型の空間となる。
さらに本プロジェクトは、米Web3拠点「EmpireDAO」の創設者マイク・フライエタ氏と連携。対面型のコワーキング支援を通じて得た知見を活かし、最先端のWeb3プログラムやネットワークへのアクセスを提供するとしている。
また、エンタメ企業や行政機関、学術機関、開発者など多様な関係者を巻き込んだイベントや共同プロジェクトも定期開催される予定。これにより、実験的なコンテンツの創出やグローバルな人材交流のハブとなることを目指す。
会員募集は2025年10月以降を予定し、詳細は後日公式サイトで公表される。先行して、同年9月に開催されるオープンイノベーションイベント「enXross 3rd」内で、アワード受賞者を対象に優先利用権が与えられるという。
DAO×エンタメの実証実験に 起業家支援と都市ブランド戦略の両立へ
「enXross DAO」は、東京ドームが主導する「エンタメテック」の中核拠点として位置付けられる。都市型エンターテインメント施設である東京ドームシティとWeb3をはじめとした分散型技術の融合は、スタートアップ支援の新たなモデルケースとなる可能性がある。
DAO形式によってコミュニティ主導の運営や意思決定が可能となり、従来の上意下達型施設とは異なる柔軟なエコシステムが構築される点も注目される。特に、起業家や開発者が自律的にリソースやネットワークを活用できる環境は、国内外からの注目を集めると予測される。
一方で、DAOの導入には運用上の課題も多い。ガバナンス構造の設計やトークン経済の運用、規制対応といった点が慎重に問われる。また、エンタメ事業との融合においては技術的先進性と体験価値の両立が求められるだろう。
しかしながら、Web3やXRといった先端技術の社会実装には、こうした実験的拠点の存在が不可欠である。東京ドームという「リアルな場」を活かしたDAOの導入は、日本における次世代起業支援の象徴として機能する可能性がある。