VESSとは?デジタル証明書の発行を通してDIDを構築。web3版の履歴書を実現する日本発のプロダクトとは?
この記事ではVESSについて解説します。DIDはweb3が浸透した分散型社会の中でコアな基盤となることが期待されている領域です。その中でプロダクトを作っているVESSを通して、DIDの勉強にも繋がれば幸いです。
VESS とは?
VESSとは、株式会社VESS Labsが提供する、分散型データネットワークプロトコルのCeramic Networkを活用した実績証明プロダクトです。ユーザーは全ての実績データをDIDに紐付けて自身で所有・管理し、特定のプラットフォームや組織、ブロックチェーンに制限されることなく検証可能なデータとして持ち運ぶことができ、Web3時代の履歴書として活用することが可能になります。
少しややこしいかも知れないので、詳しく説明します。
VESSが解決する課題
VESSは各プラットフォームにバラバラに存在している個人の実績等の証明をユーザーのDIDに紐付けて管理できるようにしようという取り組みです。では、これによってどのような課題が解決されるのでしょうか。
大きく2つです。
- ユーザーは自身の証明を所有できない:たとえば、とあるDAOで必死に貢献したとしても、そのDAOの活動が停止してしまった時、そこで貢献した証明はできません。自己申告や、他者からのコメントをもらうことは可能ですが、それらは全て偽装可能であり、真の証明とはなり得ません。
- 個人のリファレンスチェックが非常に難しい:リファレンスチェックとはつまりその人がどんな人か?怪しくないか、スキルはあるのかというチェックです。就職でいう履歴書の確認と履歴書が本当かを確かめる行為です。しかし、特にweb3の世界では匿名文化も存在しているため、その人がどんな人間なのかを確かめる方法が存在せず、Twitterのフォロワー数を確認したり、自己申告でもらった経歴を確認する程度になってしまいます。
VESSはこれらの課題を解決します。
- 各プラットフォームや組織で実績証明のオンチェーン上に発行(Voxelと表現)
- それが全て自身のDIDに紐づく
これによって、web3版の履歴書が誕生します。
そして、データの所有者であるユーザーが許可した範囲でデータをAPI等を通じて参照できるようにすることで、この蓄積したDIDはリファレンスチェックはもちろんDeFi等での与信管理にも活用できます。
VESSが提供するプロダクト群
なんとなくの解決する課題のイメージが理解できたところで、より具体的な解説に入ります。執筆時の2023年3月初旬時点で、株式会社VESS Labsでは複数プロダクトを展開しています。
上で説明した構想は同じで、それを実現するために複数プロダクトを展開しているというイメージです。説明します。
- VESS:デジタルアイデンティティを履歴書としてキュレーションし、それらをあらゆるプラットフォームに持ち運ぶことを可能にするワークアイデンティティプロトコル。
- VESS Resume:実用的な履歴書としてVESSプロトコルで作成した仕事のIDを可視化するアプリケーション。
- SYNAPSS:Web3人材に特化した求人プラットフォーム。
- VESS for Org(ベスフォーオーグ):デジタル証明書を発行できる法人向けプラットフォーム。
ややこしく見えるかも知れませんが、難しくありません。あくまでデジタルアイデンティティの証明が目標にあり、その「発行」「所有/閲覧」「利用」をプロダクトとして分けているイメージです。
VESS for Orgは現在クローズドβ版で運営されていますが、法人が簡単にデジタル証明書を発行できるアプリケーションです。在籍証明やイベント参加証明などをノーコード&手数料0円で発行ができます。
そして、現在WaitingListの登録中である「VESS Resume」で受け取ったユーザーがそのデジタル証明を見れるようになるというわけです。
そして、その発行したデジタル証明書を「web3版の履歴書」として機能させることができる求人プラットフォームが「SYNAPSS」です。こちらも現在は事前登録を開始している段階です。
そして、自社サービスでもデジタル証明書を発行したい人のためにプロトコルとして「VESS」も提供されています。
整理と展望
固有名詞も多く出てきたので、最後に改めて整理します。
- 株式会社VESS Labsは、ユーザーが全ての実績データをDIDに紐付けて自身で所有・管理し、特定のプラットフォームや組織、ブロックチェーンに制限されることなく検証可能なデータとして持ち運ぶことができるプロダクトを展開している。
- 各プラットフォームにバラバラに存在する証明をDIDに紐付けて管理することで、リファレンスチェックの簡易化に大きく役にたつ。
- そのために、プロトコルの「VESS」、企業が簡単にデジタル証明書を発行できる「VESS for Org」、発行されたデジタル証明書を所有&閲覧できる「VESS Resume」、デジタル証明書を活用してweb3人材の採用ができる「SYNAPSS」を開発している。
このDID分野はHR領域のリファレンスチェックに役立つだけでなく、Dapps利用時のゼロ知識証明にも活用されていくことが期待されています。そこまで考えると非常に大きな市場規模となり、web3が浸透した分散型社会のコアな基盤となることがわかります。なので当然、世界中にDIDを狙う多くのプロダクトが存在しますが、VESSは日本発でグローバルを狙っているプロダクトです。
この記事ではVESSのプロダクト紹介に留まりましたが、「そもそもDIDってなに?」「DIDは何がすごいの?」という話はしていません。実はDIDというのは分散型アイデンティティのことを指すわけではなく、分散型識別子のことを指し、その集合体が分散型アイデンティティとなります。僕もこの辺りは勘違いしていました。
Plus Web3でもDIDに関する技術解説やユースケースの解説記事は書いていきますので、楽しみにお待ちください!
以上、VESSの解説記事でした!
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