VAIO、東京本社を設置し二本社制へ　市場対応力の強化を図る

VAIO株式会社は2025年4月より東京本社を設置し、長野県安曇野本社との二本社制へ移行すると、2025年3月25日に発表した。体制変更により、都市部での営業・マーケティング強化と、地方拠点の製造・開発機能の維持を両立させる狙いがある。

市場変化に対応するための二本社制　東京と安曇野の役割分担

VAIOは、ソニーのパソコン事業から独立し、2014年に安曇野市を拠点とする企業として再出発した。同社は高品質な製造体制を維持しつつ、ビジネス市場向けに製品展開を進めてきた。しかし、デジタル化やリモートワークの普及により、企業向けサービスの需要が拡大し、市場環境の変化に対応する柔軟な経営体制が求められていた。

新たに設置される東京本社は、営業・マーケティング・顧客サポートを担う。
都市部のビジネスネットワークを活用し、企業との接点を増やすことで、ブランドの認知向上や市場シェア拡大を図る狙いだ。
また、顧客サポートの強化により、ユーザーの利便性向上と製品改善のフィードバックを迅速に行うことが可能になる。

一方、安曇野本社は引き続き製造・開発の中心拠点となる。
VAIOは「安曇野FINISH」と称する独自の品質管理プロセスを採用しており、高品質な製品を提供することが競争力の源泉となっている。
地方拠点の利点を生かし、安定した製造基盤の維持と、技術革新を進める方針である。

二本社制によるVAIOの成長戦略　市場への影響

二本社制への移行は、単なる拠点拡大ではなく、事業の最適化を目的とした戦略的な判断である。都市部の市場に近い拠点と地方の製造拠点を組み合わせることで、VAIOは競争力の向上を図るとみられている。
今後、東京本社を活用した新たなビジネス展開や、新製品開発の加速が期待されている。

日本の製造業において、地方拠点の強みを維持しつつ、都市部での市場開拓を強化する事例は増加している。IT企業やハードウェアメーカーにとっては、VAIOの二本社制は一つのモデルケースとなる可能性があるだろう。

PC市場の観点から見ても、今回の発表はVAIOブランドの存在感を再び高める契機となりうる。特に、法人向け市場での競争力強化が成功すれば、今後のシェア拡大が期待されるだろう。