米政権、UAEへのNVIDIA半導体100万基供与を検討 AI半導体輸出規制に揺らぎ

2025年5月14日、米国のトランプ政権がアラブ首長国連邦(UAE)へNVIDIAの(エヌビディア)製半導体100万基超の輸出を容認する方向で協議しているとブルームバーグが関係者からの話として報じた。
AI半導体に対する従来の厳格な輸出規制を大きく転換する動きであり、中東AI市場の主導権争いに影響を及ぼす可能性がある。
トランプ政権、バイデン政権のAI輸出規制を転換へ 市場は好感
米トランプ政権は、バイデン政権下で導入されたAI半導体の拡散防止規則、いわゆる「AI拡散規則」の撤廃を進めており、今回のUAE向け輸出容認もその一環と位置づけられる。
今回検討されている取引では、UAEが2027年までにエヌビディア製半導体を年間50万基ずつ輸入する計画で、総数は100万基を超える見通しだ。
うち約20%はアブダビのAI企業G42に割り当てられ、残りは米系企業が建設中のデータセンター向けに供給される。
G42はAI開発を積極的に進める中東の主要企業のひとつであり、今後地域のAIハブ機能を担うと見られる。また、米系企業のうちの1つがオープンAIの可能性もあるという。
バイデン前政権時代には、G42が華為技術(ファーウェイ)からの資本撤退に応じたことで、UAEにおけるデータセンターを含む15億ドル規模のマイクロソフトとの提携が実現した。
今回の取引が進展すれば、米国の中東、特にUAEでのAI開発政策は大きく方向転換することになる。ただし、トランプ政権が今回の案件にどのような安全保障上の条件を課すかは不明だ。
中東AI供給網で攻防激化 米国、半導体供与で中国勢けん制狙うもリスク残存
今回、エヌビディアとAMDはUAE向け供給に加え、サウジアラビアのAI企業ヒューメインにも半導体を供給する計画を明らかにした。
ヒューメインはサウジ国内から米国に至る広域データセンタープロジェクトを推進しており、総投資額は100億ドル規模とされる。
今回の米政権によるUAEへのNVIDIA製AI半導体の供与検討は、米国の対中テクノロジー封じ込め戦略を中東市場にまで拡張し、AI半導体分野での覇権争いを優位に進める狙いがうかがえる。
中東AI市場は国家主導の投資が活発であり、米国がこの成長領域に早期に食い込むことで、中国勢を一定程度牽制できる可能性はある。
一方で、G42やヒューメインは依然として中国とのビジネス関係を維持しており、米国製半導体が間接的に中国技術圏へ流出するリスクは払拭しきれていない。
米国としては単なる半導体供給だけではなく、データ管理、クラウド運営、AI倫理ルール策定といったソフト面での関与を強化する必要があるだろう。
安全保障条件の形骸化を避け、技術流出を抑止するには、今後も細かな実務レベルの制御が不可欠だ。