中国サーバー大手、エヌビディア製チップ不足を警告 AI投資の障害に

中国の大手サーバーメーカーH3Cが、エヌビディア製AIチップ「H20」(※)の供給不足について顧客に警告したことが、2025年3月27日に明らかになった。
チップ不足は、AI分野への投資を進める中国企業にとって重大な障害となる可能性がある。
H3Cは、「H20」の在庫がほぼ枯渇しているとし、国際的なサプライチェーンの不確実性が高まっていることを指摘している。
H20チップ供給不足の背景と影響
H3Cは、中国で広く展開するサーバーメーカーであり、AI技術の開発にも積極的に関与している。同社は最近、エヌビディアのH20チップの供給が逼迫していることを顧客に通知し、警戒を促した。
エヌビディア製AIチップのH20とは、AI向けの高性能チップで、データセンターやクラウドサービスでの利用が期待されている。しかし、H3Cによると、現在の在庫はほぼ払底し、新たな供給には大きな不確実性が伴うという。
供給不足の主な要因として、地政学的な緊張や輸送の遅延など、生産上の課題が挙げられる。
特に、米国の輸出規制によって、中国向けの先端半導体の流通が制限されている影響が大きいと考えられる。
また、H3Cは、4月20日以降の供給計画が明確でなく、今後の供給は利益優先の原則に基づき、長期的な安定顧客が優遇される可能性があると指摘している。
※H20(チップ):米エヌビディアが開発したAI向け半導体。高性能なデータ処理能力を持ち、機械学習やクラウドコンピューティングに広く利用される。
AI投資への影響と今後の展望
中国のAI市場は急速に成長しており、多くの企業が最先端技術の開発に資金を投じている。
しかし、H20チップの供給不足は、この成長を阻害する要因となり得る。
特に、AIモデルのトレーニングや推論処理に必要な高性能チップの調達が困難になれば、開発スケジュールの遅延やコストの上昇が避けられない。
H3Cの顧客企業にとっても、H20の供給不足は重大な課題となるだろう。
新規プロジェクトの進行が遅れるだけでなく、代替チップの確保が求められる可能性が高い。
H3Cの警告は、中国のAI産業にとって深刻なリスクを示唆している。
エヌビディア製チップの供給問題が解決しない限り、中国のAI市場成長の鈍化が余儀なくされるだろう。