SNSで注目の宙返りロボット「PM01」、中国Engine AIが約380万円で販売開始

2025年4月15日、中国・深圳発のスタートアップEngine AIが、人型ロボット「PM01」の販売を開始した。価格は約380万円で、SNS上では宙返りやダンスを披露する動画が話題となり、瞬く間に注目を集めている。
SNSの動画で宙返りで脚光浴びた人型ロボット「PM01」
中国の新興ロボットメーカー、衆擎機器人(Engine AI)が発表した「PM01」は、全高1.38メートル、重量40キロという比較的コンパクトな人型ロボットである。
特徴はその運動性能にあり、全身に24軸の自由度を搭載し、機械的な歩行と自然な歩行の両モードに対応。最大秒速2メートルでの移動が可能で、腰部が320度まで回転する設計により、従来のヒューマノイドでは実現困難だった前方宙返りやダイナミックなダンス、ジョギングまでこなす。
この身体能力が広く知られるきっかけとなったのは、米国の人気配信者アイ・ショー・スピード氏とのダンス動画だった。SNS上で数百万回再生され、エンターテインメントとしての人型ロボットへの関心を一気に押し上げた。
PM01は2025年2月に人型ロボットとして世界で初めて前方宙返りに成功しており、ロボティクス分野の技術到達点を一段引き上げた機体としても注目を集めている。
パーソナルから産業応用まで、PM01の多用途展開による将来性
PM01は、家庭用のコンパニオンロボット(※)としてだけでなく、観光地での案内係や、大学・研究機関での実験プラットフォームとしても活用可能な設計がなされている。
利用者の目的に応じて、自由にプログラムやカスタマイズができる点が、同ロボットの市場での差別化要因と言える。
この製品を開発・販売するEngine AIは、2023年10月に深圳で設立された新興企業だが、すでに約2億元(約40億円)のプレシリーズA資金を調達し、現在の企業評価額は15億元(約300億円)を超えている。
ハードウェア開発に加えて、AI制御系や自然言語処理などの分野でも急速に技術蓄積を進めており、今後はロボティクス領域の有力プレイヤーとして存在感を高めていく可能性が高い。
現在の「PM01」は一体あたり約380万円と高額ではあるが、用途の広がりやテクノロジーの進化とともに価格帯が下がれば、個人レベルでも「一家に一台」の未来が訪れるかもしれない。
PM01は、次世代の生活と仕事のあり方を再定義する製品として、グローバル市場でも注目されていくだろう。
※コンパニオンロボット:家庭内で人間の話し相手や生活支援を担うロボットのこと。介護や教育用途でも研究が進められている。