トランプ氏の暗号通貨TRUMP、最高値から75%の下落　ミームコインの限界か

2025年2月3日、ドナルド・トランプ氏が公認したTRUMPトークンが、最高値から75%もの急落を記録した。TRUMPトークンは18日の登場時は、瞬く間に注目を集め、発表から10時間程で35倍にまで価格が高騰していた。

参考 : https://plus-web3.com/media/20250120_trumpcoin/

しかし、その高騰は長くは続かなかった。
急上昇したトークンがここまで下落したことで、著名人効果の限界と暗号資産市場の本質的な特性が改めて浮き彫りになった。
本稿では、TRUMPトークンの下落要因を市場データから分析し、投資家が学ぶべき教訓を探る。

TRUMPトークン下落の3つの要因

TRUMPトークンの急落は、単なる市場の一時的な価格変動ではなく、より深い構造的問題によるものだという分析がある。

TRUMPトークンは、初期流通量が制限されたトークンなのだ。CoinDesk(https://www.coindesk.com/markets/2025/02/03/trump-down-75-from-peak-even-as-donald-trump-shills-the-token-on-truth-social)の分析によると、トークンの総供給量の20%のみが市場で流通しており、この制限的な流通構造が価格の不安定性を助長しているとのことだ。

大口保有者の集中度が極めて高いことも、投資リスクを挙げている。
TRUPMトークンは、上位5つのアドレスがトークンの90%以上を保有しており、最大のアドレスが80%を支配している。大口保有者は、事実上価格操作が可能であるため、これが投資リスクにつながると考えられる。

また、マクロ経済環境との連動も、今回の下落を引き起こした要因の一つと考えられる。トランプ氏による対カナダ・メキシコ貿易関税の発表は、市場全体の下落を誘発し、TRUMPトークンもその影響を大きく受けた。
ミームコインが一般的な市場リスクに対して特に脆弱であることが、改めて明らかになった。

著名人効果の限界

トランプ氏は自身のSNSプラットフォーム「Truth Social」でトークンを積極的に推奨し続けているが、市場の反応は冷ややかだ。2月2日までに価格は19.09ドルまで下落し、これは主要取引所の上場価格である40ドル前後を大きく下回る水準となった。

今回の下落によって、著名人の影響力に依存した投資戦略の両刃の剣としての性質が浮き彫りになった。著名人コインへの投資には、著名人の強力な発信力により短期的な価格上昇が期待できるという魅力がある。さらに従来の暗号資産と比べて注目度が高く、取引機会も多いのが利点だ。
しかし、リスクも明確だ。実際のトークン価値は、著名人の影響力だけでなく、トークンの実用性や市場での実需要が基盤となり、それに市場の流動性と取引量が価格変動の安定性を左右する。さらに、マクロ経済環境が中長期的な価値変動に影響を与え、トークン保有の分散度が市場の健全性を決定づける。
これら本質的な要素が弱い場合、著名人の発言だけでは価格を支えきれず、急激な下落を招く可能性が高いことが、今回の事例で明確となった。

まとめ

TRUMPトークンの急落は、暗号資産市場における重要な教訓と言えるだろう。
著名人の影響力は短期的な価格上昇をもたらす可能性があるものの、長期的な価値維持には、トークンの基礎的価値と健全な市場構造が不可欠である。

今後の展望として、トランプ氏の政治的影響力は依然として無視できない要素であるが、トークンの価値は最終的に市場の基礎的要因によって決定されると予測される。投資家は、著名人効果に惑わされることなく、トークンの基礎的価値、市場構造、そしてマクロ経済環境を総合的に評価する必要がある。