トランプ大統領、財務長官ベセント氏をCFPB局長代行に任命　金融政策の見直しを推進

2025年2月3日、トランプ大統領は財務長官のスコット・ベセント氏を消費者金融保護局（CFPB）の局長代行に任命した。

この任命は、前任者であるロヒット・チョプラ氏の解任を受けたものであり、米国の金融政策において極めて重要な人事異動の一つとして注目を集めている。

チョプラ氏の解任とベセント氏の起用は、政権交代による政策転換の象徴とも言える。

ベセント氏の経歴と新たな役割

スコット・ベセント氏は、著名投資家であるジョージ・ソロス氏のヘッジファンドで最高投資責任者（CIO）を務めた実績を持つ経験豊富な投資家である。彼は2025年1月末に財務長官に就任したが、そのわずか数日後にはCFPBの局長代行としても指名され、同時に両ポストを兼任することとなった。

この異例の任命には、トランプ政権が目指す迅速な政策推進が背景にあると考えられる。ベセント氏は、政権の政策方針に従い、アメリカ国民に対する金融負担の軽減と経済成長の促進を最優先課題として掲げている。

彼の指名は金融業界から好意的に受け止められている一方で、消費者団体からは懸念の声が上がっている。

とくに、ベセント氏が規制緩和を主張する姿勢を取っていることから、業界優遇政策に偏るのではないかとの批判がある。

ベセント氏自身は「消費者と業界双方に利益をもたらすバランスの取れた改革を目指している」と主張している。

一方、前任者であるロヒット・チョプラ氏は、バイデン政権下でCFPBの局長を務め、消費者保護を強化する政策を積極的に推進してきた。

彼は、金融機関による過剰な手数料徴収の規制や、医療関連債務が信用報告に与える影響を軽減する施策を実施していた。

しかし、トランプ大統領はチョプラ氏の解任を決断し、異なる方針を持つベセント氏を後任に据えることで、規制方針の大幅な転換を示した。

CFPBの業務停止と今後の展望

ベセント氏はCFPB局長代行として、初日に同局の業務停止を指示した。調査や規則制定、訴訟などが対象である。これは、金融業界の要望に応じた規制見直しの一環とされる。

この決定に対しては、消費者保護の後退を懸念する声が上がっている。エリザベス・ウォーレン上院議員は、金融機関による不正行為が増える恐れを指摘した。

今後、CFPBは規制対象となる決済アプリやデジタルウォレットのルールを見直す予定だが、業界団体との法的争いも予想される。ベセント氏の改革がどのような影響を及ぼすかは、今後の展開次第だ。短期的には業界活性化が期待されるが、長期的には消費者保護の低下が懸念されている。

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