LegoGPT登場、AIがレゴ構造物を自動設計 カーネギーメロン大が公開

2025年5月8日、米カーネギーメロン大学の研究チームが、テキスト入力から物理的に安定したレゴ構造物を自動生成するAI「LegoGPT」を発表した。GitHubで無料公開されており、教育現場やクリエイティブ用途での活用が注目されている。
安定性と創造性を両立する新世代AI、LegoGPTの実力
「LegoGPT」は、カーネギーメロン大学のコンピュータ科学者チームが開発した、テキストからレゴ構造物を設計するAIモデルである。ユーザーが任意のテキストを入力すると、それに対応した3Dレゴデザインを自動生成する仕組みだ。
従来のAIによるジェネレーション技術は、奇抜さや芸術性に寄りがちだったが、LegoGPTは物理法則に基づいた「安定性」に焦点を当てた点が特徴だ。
このモデルは、47,000以上のレゴ構造物から成るデータセットを学習しており、28,000種類以上のユニークな3D構造物のパターンを扱えるという。生成された構造物の98.8%が物理的に安定していると評価されており、教育現場などで実際に活用できる水準に達している。
つまり、単なるバーチャルな創作物ではなく、現実のブロックとして再現可能な設計がなされている点に実用性がある。
この技術は現在、GitHub上で無料公開されており、誰でもアクセスして使用できる。
開発チームによると、ユーザーは簡単な英語で指示を入力するだけで、AIが3Dレゴ構造を生成し、モデルファイルを出力する仕組みになっている。構造のプレビューや修正も可能であり、非エンジニア層でも扱いやすい設計だと言える。
教育・創作現場での革新と、広がる応用の可能性
LegoGPTの最大の価値は、テキストというシンプルな入力手段を用いて、高度な構造設計が可能になる点にある。
教育分野では、子どもたちの空間認識力や論理的思考を刺激する教材として活用が期待される。特にSTEM教育(※)において、AIとレゴを融合させたこのツールは、実践的かつ創造的な学習環境を提供するポテンシャルを持つと考えられる。
また、レゴ愛好家やデザイナーにとっても、LegoGPTは強力な設計支援ツールとなるだろう。ユーザーは「橋を作って」「近未来的な塔を設計して」などといった自然言語のリクエストを通じて、自分では思いつかなかった構造物を得ることができる。
そのため、従来は手動で行っていたレゴ設計のプロセスが、AIによって革新され、創造活動の自由度と効率性を飛躍的に高めるはずだ。
LegoGPTは公開されたばかりの技術ではあるが、AIと人間の創造性が相互補完的に作用する象徴的な例として、今後の進化が注視される。
※STEM教育:Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Mathematics(数学)の4分野を重視した教育方針。問題解決力や創造性を育成することを目的とする。