「テキサスをビットコインマイニングの中核地に」 米クルーズ議員が余剰ガス活用促進法案提出

2025年3月31日、米テキサス州選出のテッド・クルーズ上院議員は、石油採掘等で発生する余剰ガスを活用してビットコインマイニングを推進する「FLARE Act(大気放出削減促進法案)」を提出した。マイニング業界の成長と環境配慮を両立させる試みとして注目されている。
環境配慮と経済成長の両立目指すFLARE法案 テキサスの新たな方向性
テキサス州は、米国内でも有数のエネルギー資源地であり、特に石油や天然ガスの採掘が活発だ。
その一方で、採掘時に発生する「フレアガス」は、環境への影響が懸念されている。
今回提出した法案「FLARE Act(Facilitate Lower Atmospheric Released Emissions Act)」では、石油や天然ガスの採掘・精製・処理の過程で出る余剰ガスを、通常のように焼却(フレア)せず、ビットコインマイニング用の電力生成源として活用することを推奨するものだ。
税制の優遇措置などを通じて、マイニング業者や起業家の投資を促す狙いがあると考えられる。
また、電力供給の分散化を図ることで、需要が集中する時期や極端な気象条件のもとでも、電力網の安定性と回復力を高める狙いもあるという。
クルーズ議員は法案提出時、「私はテキサスをビットコイン採掘のナンバーワンの地とすることを約束する。」と発言しており、続けて「テキサスの膨大なエネルギーの可能性を活用し、ビットコイン産業の本拠地としての地位を強化し、環境にも良いものとなっている。」と述べた。
法案にはフレアガス再利用のための設備投資に対し、初年度に100%の即時償却を認める税制優遇措置(ボーナス償却)の恒久的な適用も盛り込まれている。
ただし、この税制優遇措置は、中国、イラン、北朝鮮、ロシアが所有する企業は適用しないとしている。
マイニング業界が注目 広がる期待と技術導入の課題
FLARE Actが成立した場合、テキサス州は再生可能エネルギー資源を活かしたビットコインマイニングの中核地となる可能性があるだろう。フレアガスの再利用という形で電力を供給すれば、環境負荷の低減と事業性の両立が見込まれる。
また、以前からビットコインマイニングは電力消費が極めて高い産業として知られているため、マイニング業界内外からも法案に対する支持が集まっているという。
ビットコインマイナー業界団体のデジタルパワーネットワーク(DPN)は、1日にクルーズ議員の法案への支持を表明した。
また、エネルギー企業のコノコフィリップス社は、すでに2022年からフレアガスを活用したマイニング実証プロジェクトに着手している。
一方で、税制優遇はあるものの、フレアガスの回収技術や設備導入には一定のコストがかかるため、すべての事業者がすぐに対応できない可能性が考えられる。
ただし、法案が進展すれば、環境規制と産業政策の両立という新たな政策モデルとして、他州や他国への波及も期待されるだろう。