米国国防省、テンセントを中国軍関連企業に指定:情報リスクを意識する時代へ
2025年1月7日、米国国防省は中国のテクノロジー大手テンセントを、中国人民解放軍(PLA)と関連のある企業として公式に指定した。
この決定は、情報安全保障とビッグデータの取り扱いに対する国際的な懸念を反映している。
中国人民解放軍と関連のある企業の指定自体は制裁を意味するものではないが、米国企業がテンセントとの取引を控える可能性が高まり、企業イメージの悪化や市場での株価下落を招く恐れがある。
あらゆる産業領域に浸透する『テンセント』
テンセントは、世界的なチャットアプリ「WeChat」やオンラインゲーム事業で知られる一方、AIやロボット、自動運転技術などの新領域にも多大な投資を行う企業である。
1998年に設立された同社は、中国・深圳に本社を構え、時価総額では中国国内外でトップクラスを誇る。
月間アクティブユーザーが10億人を超える『WeChat』を提供する一方で、米国や欧州のゲームスタジオへの投資事業にも積極的だ。
また、同社が運営する『テンセントクラウド』は、アジア最大級のクラウドサービスプロバイダーとして、企業向けにデータ保存やAIツールの提供を行っており、テンセントAI研究所では、医療診断、音声認識、画像処理技術を含む幅広い分野で研究を進めている。
サービスを通じて集められたデータ、どう使われる?
テンセントが提供するサービスを通じて収集されるデータは、ユーザーのメッセージ履歴や通話内容、位置情報や購買履歴、生体情報(ゲーム内トラッキングや健康アプリで収集)などがあり、これらの情報は、中国の国家安全法に基づき、要求されれば中国政府に提供される可能性がある。
また、テンセントは、中国共産党との関係が密接であるとされ、政府の監視やプロパガンダに関与している可能性を指摘されており、特にWeChatは、中国国内外での情報監視に使用されているという報告がある。
一方、テンセント側は一貫して「利用者データのプライバシーを尊重している」と主張している。
なお、TikTokを運営するバイトダンスも、中国の国家情報法に基づき政府と協力する義務を負っているため、米国ではすでにTikTokの全面禁止が議論され始めている。
AI時代の情報安全保障と国際的対応の重要性
テンセントを『中国軍関連企業』として指定した米国国防省の決定は、AIとビッグデータが持つリスクを再認識させられるものだ。
テンセントの報道担当者は、「当社は軍事企業でもなく、軍に物資を提供するサプライヤーでもない。制裁や輸出規制とは異なり、このリストに掲載されても事業への影響はない」と説明した。そのうえで、「誤解がある場合は米国防総省と連携して対応する」と付け加えた。
日本国内でも、これらのリスクに対する理解を深め、情報安全性を確保するための取り組みを進める必要があるだろう。
特に、AIやロボティクスといった新技術が急速に進化する中で、データの安全性を担保し、国家の利益を守るための国際的な連携が不可欠だ。
一人ひとりが情報のリスクを意識し、適切にサービスを利用する姿勢が求められる時代が訪れている。
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