S.RIDEが大阪進出を加速 第一交通産業グループと連携し、河南エリアでも配車可能に

2025年4月21日、タクシー配車アプリ「S.RIDE」は第一交通産業グループと連携を開始した。これにより、大阪市域および河南B交通圏(※)においてS.RIDE対応タクシーが運行開始となり、利便性が大きく向上する。日本国内の移動インフラにおけるデジタル化の一環として注目される動きだ。
S.RIDEが大阪エリアで利便性を拡大、都市部から郊外へ広がる新たな配車網
東京都心を起点に拡大を続けてきたタクシー配車アプリ「S.RIDE」が、関西圏でのプレゼンスを本格的に高めつつある。2025年4月21日、S.RIDEは第一交通産業グループ傘下の大阪第一交通、堺第一交通、南大阪第一交通の3社と連携し、配車サービスの提供を開始した。
この連携により、S.RIDEで呼べるタクシーは大阪市域交通圏および河南B交通圏にまで広がった。
大阪市、堺市、豊中市、吹田市などの都市部はもちろんのこと、富田林市、河内長野市、大阪狭山市、太子町、千早赤阪村など、大阪南部の郊外エリアにも対応する点が注目に値する。
同アプリの強みは、シンプルなUIと高い技術力にある。AIを活用した配車システムにより、乗客の現在地や需要に応じた最適なタクシーを自動的に割り当てる仕組みが採用されている。さらに、S.RIDE WALLET機能(※)により、流しのタクシーでもアプリ内決済が可能。クレジットカードやApple Payによる事前登録で、乗車から決済までが完全に非接触で完結する。
S.RIDEは法人向けの「S.RIDE Biz」にも対応しており、企業の移動業務におけるコスト管理や経路管理の効率化にも寄与している。今回の連携によって、全国での対応台数は2万台を超え、都市部だけでなく地方都市でも安定した配車ネットワークを構築し始めている。
※河南B交通圏:大阪府南部に位置する交通圏の一つ。市町村単位で構成され、従来タクシー供給が少ないとされていた地域を含む。今回S.RIDEが初進出。
※S.RIDE WALLET:S.RIDEアプリにおけるキャッシュレス決済機能。流しのタクシーに乗車しても、アプリに登録済みの決済手段で支払いが完了する仕組み。
観光地・空港・郊外までカバー S.RIDEが描く「心動かす移動体験」の次なる一手
大阪の都市部に加え、今回新たにカバーすることになった河南B交通圏は、近年観光需要の高まりを見せている地域である。河内長野や太子町、千早赤阪村といった歴史的・自然的資源に恵まれた地域にとって、都市部と郊外を結ぶ移動インフラの強化は喫緊の課題だった。
S.RIDEの導入によって、従来タクシーの手配が難しかったエリアでもスマートフォンひとつで配車が可能となる。特に高齢者や観光客にとっては、地理に不慣れな場所でタクシーを探す手間が省けるため、大きな利便性向上につながる。さらに、関西国際空港発の配車にも一部対応しており、観光・ビジネス両面での利活用が期待される。
S.RIDEは自社のビジョンとして「革新的なモビリティサービスで、心動かす移動体験を創る。」という言葉を掲げている。
今回の大阪進出は、そのビジョンを体現する第一歩に過ぎない。今後は他地域への展開や、よりパーソナライズされた移動サービスの提供が進むとみられ、国内モビリティの構造を再定義する可能性を秘めている。