タイ投資委員会、デジタル経済加速へ約27億ドルのデータセンター投資を承認

タイ政府の投資促進機関であるタイ投資委員会(BOI)は2025年3月17日、データセンターおよびクラウドサービス向けに909億バーツ(約27億ドル)の投資を承認した。ロイター通信が報じている。
同国のハイテク産業拡大を反映した決定で、北京ハオヤンクラウド&データテクノロジーなど複数企業の大型プロジェクトが含まれる。
拡大するAI需要に対応、主要テック企業も続々と進出
今回承認された投資には、北京ハオヤンクラウド&データテクノロジーによる300メガワット規模のデータセンター建設(727億バーツ)とGSAデータセンター02による35メガワット施設への投資(135億バーツ)が含まれる。
これらのプロジェクトは、東南アジア全域で急速に拡大する人工知能(AI)需要に対応するためのインフラ整備という側面を持つ。AIの発展には強力な計算能力と膨大なデータ処理能力が不可欠だ。
特に大規模言語モデルや画像生成AIなどの先端技術は、数千から数万のGPUやTPUといった専用プロセッサを必要とする。
データセンターはこれらの高性能ハードウェアを集約し、大量の電力と冷却システムを効率的に管理することで、AIモデルの学習や推論処理を支えている。
また、AIサービスのリアルタイム提供には低遅延の環境が重要であり、地理的に最適配置されたデータセンターネットワークが不可欠となっている。
タイではここ数年、主要テック企業によるデータセンター投資が相次いでいる。
TikTokは2023年1月、タイで1268億バーツ相当のデータホスティングサービス計画を発表した。
また、Googleは昨年10億ドルの投資を決定した。さらにAmazon Web Services(AWS)は15年間で50億ドルを投じる長期計画を打ち出し、Microsoftもタイ初となる地域データセンター開設の意向を示している。
タイ政府はこうした流れを加速させるべく、税制優遇措置や各種政策支援を通じてデータセンター投資の積極的な誘致に乗り出している。こうした取り組みが実を結び、国内外の企業からの投資が増加傾向にあると言える。
デジタル経済の基盤強化で地域ハブ化を目指す
タイは地理的な優位性と政府の戦略的支援策を梃子に、東南アジアにおけるデジタル経済の中心地としての地位確立を目指している。今回の大型投資も、タイの地域経済競争力を高める重要な一歩になる可能性がある。
データセンターの増強は成長著しいAI産業での優位性の確保につながり、製造業やサービス業を含むあらゆる産業のデジタル化を支える基盤となる。
タイ政府はこの波に乗り、デジタル経済の成長を国家戦略の柱に据えている。
今後数年間でタイのデジタル関連産業は急速な成長が見込まれており、データセンター投資はその重要な触媒となることが期待されている。
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