生成AI×3Dプリント革新　米Syntilayが放つカスタムシューズの衝撃

米Syntilayは2025年1月より、生成AIと3Dプリント技術を融合させたカスタムシューズを販売している。個人の足形に合わせた設計と持続可能性の両立を目指す、革新的な取り組みだ。

生成AIが生む多彩なデザインと3Dプリントの融合

SyntilayはReebokの創設者であるJoe Fosters氏などがアドバイザーを務めるアメリカ拠点のスタートアップ企業であり、AIと3Dプリント技術を駆使したフットウェア開発に挑戦している。

同社が新たに販売しているカスタムシューズは、生成AI「Midjourney」を用いたビジュアル案をもとにデザイナーが3Dモデルを作成する方式が特徴だ。AIが出力する多様なスタイルを取り込みながら、革新的な色使いやパターンをスムーズに導入している。

さらにFDM（※）方式の3Dプリントに耐久性の高いTPUを採用することで、柔軟性と強度の両立が図られている。

価格は149ドル（約23,000円）と、AIと3Dプリントを組み合わせた製品としては比較的手の届きやすい水準だ。
加えてユーザー自身がスマートフォンで足をスキャンし、そのデータをもとに個別の寸法を反映できる点も大きな魅力である。

AI主導のコンセプト生成と最先端の造形技術が結びつき、シューズデザインの新境地を切り開くと目されている。

環境配慮と市場の反響、そして未来への戦略

Syntilayのカスタムシューズは、必要な部分だけに材料を重ねる3Dプリント手法ゆえに資源の無駄を最小限に抑えられる。TPUはリサイクルしやすい素材でもあり、環境への負荷低減に寄与すると期待される。

市場面でも、個々の足の形状に合わせられる独自性が支持を集め、先行予約の段階から好調な売れ行きを示したという。さらにReebokを築いたJoe Foster氏のノウハウが活かされることで、機能性とデザイン性を両立させた製品づくりが見込まれる。

今後はAI技術のさらなる進化や、新素材との組み合わせにより、Syntilayがシューズ業界に新たなスタンダードを打ち立てる可能性も考えられる。

大手ブランドとの提携や追加資金調達の動向にも注目が集まり、AI×3Dプリントが今後のフットウェア市場の主役となるかどうか、ますます注目されるところである。

※FDM（Fused Deposition Modeling）：熱で溶融した樹脂を層状に積み重ねる3Dプリント方式。低コストかつ扱いやすい点が特徴で、小ロット生産や試作用途に広く利用されている。