Spatial Labs、リアルアセットのNFT化について考察

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本記事はNFTを活用したビジネスを考えているbizdev向けの記事です。

某メルマガで紹介されていたSpatial Labs。ウェアラブルにチップを埋め込むことで、ブロックチェーンと繋ぐことができる所に興味が湧いてリサーチしました。

本記事ではSpatial Labsとは、LNQとは、LNQを導入するメリット、LNQ×AR、Spatial Labsの競合分析、考察について解説しております。

目次

Spatial Labsとは

Spatial Labsとは、2021年にIddris Sandu氏によって設立された技術インフラとハードウェアを提供する企業です。

LNQ(リンクと発音)と呼ばれるチップを埋め込むことでWeb3に対応させたウェアラブル(服や靴)、LNQが埋め込まれた商品の売買を行うマーケットプレイスの開発、AR(拡張現実)を利用した商品やショッピング体験の創造に注力しています。

Spatial Labsは、雇用と技術スタックの拡張と多様化や、メディア・エンタメなど他の産業への拡大に使うため、シード調達ラウンドで1000万ドルを調達しています。

Spatial LabsのLNQとは

LNQとは物理的な製品をWeb3に繋げるマイクロチップで、LNQを埋め込まれた商品はその出所、所有履歴をブロックチェーン上で確認することができます。

入場チケットのような使い方もでき、携帯電話でLNQチップをタップすることでバーチャルコンサートなどのオンライン体験や、現実世界での体験に活用することもできます。

既にLNQが埋め込まれたウェアラブルの販売は開始されており、今後も展開されていく模様です。LNQは13mmで完全防水・耐久性も高く設計されているので、ウェアラブルの洗濯もできることが予想されます。

またLNQはブランド等に向けても販売されています。

Spatial LabsのLNQを導入するメリット

ブランドがLNQを導入するメリットとしては、

  • 偽物を区別できる
  • ロイヤリティを設定できるので新しい収益モデルを作れる
  • 詳細な顧客データが入手できる
  • コミュニティ作りに活用できる
  • 誰でもNFTの恩恵を受けることができる

詳しく解説します。

偽物を区別できる

製品にLNQを埋め込むことで、ブロックチェーンと繋げることができるのでNFTのように扱うことができます。

つまり製品一つ一つがブロックチェーンで管理されているため、製品について詳しくない人でも本物と偽物を区別することができます。

ロイヤリティを設定できるので新しい収益モデルを作れる

上記でも説明しましたが、現実世界の製品をNFTのように扱うことができるので、ロイヤリティを設定することができます。

今までの収益ポイントは商品を売る時だけでしたが、ロイヤリティを設定することで2次流通の際にも収益ポイントを作ることができます。

新しい収益モデルを作ることで、ビジネスモデルも大幅に広がることが予想されます。

詳細な顧客データが入手できる

今までは購入者が他にどんな物を購入しているか、どのタイミングで手放しているか等を調べる方法はありませんでした。

しかしLNQを導入することで、どんな人が購入するのか、どんなものに興味があるのか等、今まで調べることができなかった詳細な顧客データを入手することができます。

ブランドはこれらのデータをマーケティングに活用することができます。

コミュニティ作りに活用できる

上記でも説明しましたが、LNQは入場チケットのように活用することもできます。

そのためブランドの商品を持っている人だけが入れるコミュニティの様なものも簡単に作ることができます。

誰でもNFTの恩恵を受けることができる

NFTの活用方法として、特定のNFTを持っている人にだけロイヤリティプログラムを組めるというものがあります。

それを応用すると、ある商品を持っている人にだけ、限定商品の案内を送ったり、特別価格で案内したりすることができます。

今まではブランドから顧客にアプローチする場合、登録されているメールアドレスにメールを送る、もしくは登録されている住所に手紙を送る等しか選択肢がありませんでした。

しかしLNQを導入すると、メールアドレスや住所を登録することなく、製品に直接ロイヤリティプログラムを追加でき、顧客は商品に内蔵されているLNQに携帯電話を近づけるだけで、サービスを受けることができます。

つまりWeb3の知識が少なくNFTを購入できない顧客も、NFTの恩恵を受けることができます。

Spatial Labsが提供するLNQ×AR

またSpacial LabsはPolygonと組んで、ARサービスも提供しています。

以下をご覧ください。

Tシャツにスマホをかざすと文字が浮き出てきます。

この浮き出てくる文字はTシャツに埋め込まれたLNQチップにLNQアプリからログインすることで、カスタマイズ可能です。

Spatial Labsは今後エンタメ分野にも力を入れていく予定なので、エンタメ分野で活用されることが予想されます。

また今年後半にはAR体験の開発と展開にかかる時間を簡略化するために、「Node」と呼ばれるデバイスを発売予定だそうです。

Spatial Labsの競合分析

リアルアセットのNFT化という観点から見ると、「Americana Technologies」が競合になると考えます。

Americana Technologies

Americana Technologiesは車やアート、ブランド物等にチップを貼り付けることで、現実世界の物をブロックチェーンに繋ぐサービスを提供しています。

ブロックチェーンに繋ぐことで、透明性のある所有者履歴と公正な価格設定ができます。

また2次販売のロイヤリティを設定することもできるので、非デジタルメディアで活動するアーティストが自分の作品に貼り付け、作品が取引される度にロイヤリティを徴収することもできます。

まだシードラウンドであり、商品の販売は行ってないようですが、メンバーシップ(会員権?)のNFTは販売されているようなので、興味がある方は確認してみてください。

https://www.americana.io/tokens

Americana TechnologiesはリアルアセットをNFT化することで、非デジタルな物にもNFTの機能を持たせることに重きを置いており、LNQは日常生活の中でNFTのユーティリティを活用することに重きを置いているように感じました。

Spatial Labsを考察

今回のリサーチを通じて感じたことは、リアルアセットのNFT化は今後どんどん進んでいくことが予想されます。

筆者がそう考える理由は以下の二つです。

  • NFTを活用したビジネスが作れる
  • 素人でも偽物を区別できるようになる

詳しく解説します。

NFTを活用したビジネスが作れる

例えばですが、以下のようなビジネスが考えられます。

  • アーティストが自分のグッズを持っている人限定で参加できるライブを開催(オンライン・オフライン共に可能)
  • 特定の商品を持っている人限定で読むことができる電子書籍
  • etc…

そしてこの画期的なところは、顧客にWeb3の知識が一切必要ないということです。

今までの様に法定通貨で仮想通貨を購入し、Metamaskに送金し、Open SeaでNFTを購入するといった手順は不要です。

NFTというワードを知らない人でも、この特典は受けることができます。

筆者はここが一番画期的だと考えています。

素人でも偽物を区別できるようになる

世界の偽ブランド品の流通総額はおよそ45兆円相当だと言われています。

近年偽物のクオリティもかなり高く、素人では実物を目にしても本物と偽物の区別ができない状態になっています。

しかしリアルアセットがNFT化されると素人でも簡単に本物と偽物を区別することができます。

以上二つの理由から、筆者は間違いなくリアルアセットのNFT化は進んでいくと考えます。

この分野はまだ始まったばかりなので、引き続きウォッチしていきたいと思います。

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