ソフトバンク、衛星とスマホの直接通信サービスを2026年に開始

2025年5月8日、日本国内通信大手のソフトバンクが、2026年に衛星とスマートフォンを直接接続する通信サービスを開始する計画を明らかにした。
地上インフラに依存しない新たな通信網として注目だ。
地上インフラを越える通信網構築へ ソフトバンクが打ち出す戦略
2025年3月期の決算会見にて、ソフトバンクの代表取締役社長兼CEOである宮川潤一氏は、2026年に衛星とスマートフォンの直接通信を可能にする新サービスを開始すると発表した。
具体的な提携先となる衛星企業の名称は非公開だが、「準備は終わっている」と述べ、実用化に向けた体制が整っていることを示唆した。
衛星とスマホの直接通信技術は、既存の地上基地局網とは異なる新たな接続手段として注目されている。特に、災害時の通信インフラ維持や、山間部・離島など既存の電波が届きにくい地域での利活用が期待されている。
すでにKDDIは、2025年4月10日にSpaceXのStarlinkと連携し、テキストメッセージ送受信や位置情報共有が可能な「au Starlink Direct」を開始している。
同サービスは、NTTドコモやソフトバンクの回線ユーザーにも開放され、月額1650円で利用可能となっており、今夏にはデータ通信への対応も予定されている。
こうした流れの中、ソフトバンクの参入は、国内における衛星通信インフラ競争の本格化を意味する。さらに楽天モバイルも2026年末に、出資先のAST SpaceMobileが開発した衛星「Bluebird」を用いたサービス提供を予定しており、4月にはスマートフォン同士のビデオ通話成功を発表している。
HAPSの進展と市場変革の可能性 通信インフラの再定義が進む
ソフトバンクは、地球低軌道(LEO)衛星だけでなく、成層圏通信プラットフォーム「HAPS(High Altitude Platform Station)」の活用にも注力している。
HAPSは、高度約20kmの成層圏に無人航空機を長時間滞空させることで、地上とほぼ同等の通信エリアを提供する技術である。国土交通省と調整を進めており、早期の発表を目指しているという。これにより、地上設備を設置しづらい山岳部や離島、災害エリアでも、安定した通信網の確保が現実味を帯びてきた。
NTTグループもHAPSの商用展開を2026年に予定しており、2025年3月にはHAPSを介したLTE通信の実証実験に成功したと発表している。
各社が地上インフラを補完または代替する手段としてHAPSや衛星通信に注目していることから、国内の通信網構造が今後数年で大きく変容する可能性がある。
一方で、課題も存在する。
たとえば、天候の影響を受けやすい衛星通信の安定性や、料金体系の妥当性、既存インフラとの整合性などが挙げられる。
とはいえ、これらのハードルが技術と制度の進展によって克服されれば、通信業界における地理的格差の解消や新規事業創出につながることは間違いないだろう。
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