静岡県小山町、公共ライドシェアの試験運行を開始 AIが最適ルートを構築

2025年4月1日、静岡県小山町は一般ドライバーが自家用車を活用して利用者を運ぶ「公共ライドシェア」の試験運行を開始した。
この取り組みは、AIを活用して予約状況に応じた最適な乗り合いルートを構築することで、地域の交通利便性向上と運転手不足の解消を目指している。
「OyamaRIDE」の革新的機能と詳細
小山町が試験運用を始めた公共ライドシェアの配車専用アプリ「OyamaRIDE(おやまライド)」は、AIを活用して利用者の予約情報をリアルタイムに取得し、乗車希望者の位置情報や目的地を高精度で分析する。
その結果、町内における最適なルートを導き出すことが可能となる。このプロセスは、複数の利用者が同方向に向かう場合、相乗りを効率的に組み合わせる機能としても機能し、移動効率の向上に寄与する。
また、AIは刻々と変化する交通状況や直前のキャンセルといった突発的な事態にも柔軟に対応する。状況に応じてリアルタイムでルートを再構築できるため、渋滞や事故による遅延リスクを大幅に軽減できる。
さらに、アプリには地図機能が搭載されており、利用者はスマートフォン上で直感的に乗降場所を選択できる。AIが提示する経路を視覚的に確認できるため、乗車前の不安軽減にもつながっている。
加えて、通知機能や運行履歴表示といった補助機能も充実しており、移動管理の利便性が高められている。
運行地域は町内と御殿場市内で、町内が乗車または降車場所であることが利用条件。平日午前8時〜午後1時に運行し、料金はタクシー運賃の8割(静岡地区基準)、障害者同乗時はさらに1割引きとなっている。現在、町が面接した一般ドライバー3人の3台が試験運行中とのことだ。
今後の展望
今回の試験運行は、AIによるルート構築技術が地域交通に変革をもたらす可能性を示している。
小山町は7月、システムをリニューアルしたデマンドバスや巡回バスの運行も開始予定とのことで、深刻な運転手不足の解消や公共交通の利便性向上を目指していく。
AIを活用した効率的なルート構築により、地域住民の移動手段が充実するだろう。
今後、このような仕組みは過疎化や高齢化が進む地方自治体にとって、有力な交通インフラの一部として定着していくと見られる。
特に、従来の固定ルート型の公共交通とは異なり、需要に応じた柔軟な運行が可能であることから、交通資源の最適化とコスト削減の両立が期待される。
技術面では、AIが扱うデータの精度と処理速度がさらに高まることで、リアルタイムでのルート変更や交通混雑の回避がよりスムーズになる可能性がある。
一方で、相乗りによるプライバシーの問題やAIによるルート提案が必ずしも全ての利用者に最適ではない点が懸念として挙げられる。
今後は、AIと人との協調関係を構築しながら、技術導入のメリットとリスクを両面から捉える視点が重要になってくるだろう。
最終的には、公共ライドシェアが単なる交通手段ではなく、地域社会の持続可能性を支えるプラットフォームとして機能する未来像も描ける。