製造業向けAIプラットフォームのキャディ、欧州VCから40億円調達 製造業DXの海外展開を加速

2025年3月27日、製造業向けAIデータプラットフォーム「CADDi」を提供するキャディ株式会社が、シリーズCエクステンションラウンドで欧州の成長投資ファンドAtomicoをリード投資家として、総額91億円の資金を調達したと発表した。
このうち40億円はエクイティ資金であり、今回の調達により同社の累計調達額は257.3億円に達する。
AI技術で製造業の効率化を実現、日米アジア4カ国で事業展開
キャディが提供するAIプラットフォームは、製造業のエンジニアリングチェーンやサプライチェーンにおける図面データや発注履歴、部品情報などの非構造データを収集・整理し、検索や分析を可能にするものだ。
プラットフォームの導入により、調達コストの削減やリードタイムの短縮、業務プロセスの標準化と属人性の解消を実現してきた。
キャディは現在、日本国内に加え、ベトナム、タイ、アメリカの計4カ国で事業を展開しており、グローバル市場においても製造業DXのプラットフォーマーとしての地位を確立しつつある。
リード投資家となった欧州のファンドAtomicoは、「CADDiのAIデータプラットフォームは製造業の効率化を推進するゴールド・スタンダードになると確信している」と評価した。
今回の出資には、SMBC-GB グロース1号投資事業有限責任組合やMinerva Growth Partnersも参加している。
製造業においては、サプライチェーンの効率化や地政学リスクへの対応が喫緊の課題となっており、キャディのソリューションはこうした課題解決に貢献するものと考えられる。
ARR1000億円規模へ、年内に製造業メーカーからの追加出資も計画
調達された資金の使途については、製造業AIデータプラットフォームの機能拡充、AI技術の開発、グローバル事業展開の加速に充てられる予定だ。
特に海外展開においては、今回の欧州VCからの出資をきっかけに、さらなる加速が見込まれる。
キャディは年内に製造業メーカーによる追加出資ラウンドも計画しており、エコシステムの強化も進んでいくだろう。
キャディは2030年までに年次経常収益(ARR※)1000億円規模のプラットフォームを構築することを目標に掲げている。
今回の資金調達によって、この目標達成に向けた歩みがさらに加速するものと思われる。
正確性が求められる製造業で、AIがどの程度業務を担えるかなどの課題は残っているものの、製造業のデジタルトランスフォーメーションは世界的なトレンドとなっている。
日本発のテクノロジー企業がグローバル市場でどのような成長を遂げるか、今後の展開に注目が集まっている。
※ARR(Annual Recurring Revenue):年次経常収益。サブスクリプションビジネスなどにおいて、年間で継続的に得られる収益を指す指標。企業の成長性や将来価値を測る重要な指標として用いられる。