生成AI搭載スマホ、2025年には3台に1台の普及率へ　2028年には北米で80%以上に成長

2025年5月8日に公開された国際IT調査企業、カウンターポイント・リサーチ・エイチ・ケーの最新調査によれば、2025年には世界のスマートフォン出荷台数の3台に1台が生成AIを搭載する見通しとなった。

急成長を遂げる生成AI搭載スマホ

生成AI搭載スマートフォンの出荷は、2025年に世界全体で4億台を超えると予測されている。
2024年は「5台に1台」という普及率だったが、現在は「3台に1台」へと大幅に上昇しており、AIスマートフォンの市場における重要性が加速度的に高まっていることを意味する。

この急拡大の背景には、半導体業界におけるチップセットの進化がある。
従来よりも少ない電力と高い処理能力を両立する設計が進み、スマートフォン単体で生成AIの演算処理が可能になった。

また、大規模言語モデル（LLM）の軽量化と高効率化も鍵を握っている。
チップとLLMというソフト面、ハード面両面の進化により、中価格帯の機種でも生成AIを搭載できるような土壌が整っているのである。

現在、Appleの「Apple Intelligence」やSamsungの「Galaxy AI」が市場の先行者として優位に立っており、黎明期の普及を担う見込みだ。
一方で、XiaomiやOPPO、vivoといった中国メーカーも中価格帯市場を狙い、本格参入を開始している。
これらの企業は、より高いコストパフォーマンスを武器にユーザー層の拡大を図っており、市場構造に大きな変化をもたらす可能性がある。

地域別普及の加速と今後の生活への影響

北米市場では、すでに2024年時点で出荷されるスマートフォンの約半数が生成AIを搭載している。
カウンターポイント社の予測によれば、2028年にはこの割合が82％に達する見込みだ。
西欧市場でも同様のスピードで普及が進んでおり、ユーザーのニーズに応じたAIサービスの高度化が並行して進んでいる。

一方、中国市場では独自の動きが見られる。
競争の激しい国内市場において、Xiaomiやvivoなどのメーカーが中価格帯機種に積極的に生成AI機能を搭載しており、普及速度は他地域を凌駕する可能性がある。

こうした動きの中で、2026年後半から2027年前半にかけて、より広範な地域と層へのAIスマートフォンの普及が加速するとカウンターポイントは見ている。

生成AI搭載スマートフォンが一般化することにより、ユーザーの日常にも変化が起きるだろう。
たとえば、音声アシスタントや画像編集、メール要約などの機能が、アプリを使わず標準で利用可能になることで、操作が直感的になり、生産性や利便性の向上が期待できる。

ただし、個人情報の処理やセキュリティリスクへの対応も今後の重要な課題として残されており、今後の成否は「どれだけ安心して使えるか」にかかっていると思われる。

各メーカーがプライバシー保護と透明性をどのように設計思想に取り込むかが、持続的な成長のカギを握っているのではないだろうか。