生成AIで空き家を魅力的に再生 福井・永平寺町が全国初の「ビジュアル空き家バンク」開設

2025年5月27日、福井県永平寺町は、画像生成AIを活用して空き家のリノベーション後の姿を可視化できる新しいサイト「空き家メタバンク」を公開した。地方の空き家活用を後押しする革新的な取り組みとなっている。
生成AIで空き家の再生イメージを自動生成
永平寺町が開設した空き家バンクサイトでは、建物の写真をもとに生成AIがリノベーション後のイメージを瞬時に作成する。
例えば瓦葺の一軒家が、黒を基調とした現代的な住宅に、少し年季の入った和室が畳を生かした明るいダイニングに生まれ変わるといった具合だ。
従来は建築士やデザイナーが手作業で行っていた作業を、AIが自動で代替する。
このシステムは、坂井市の建築システム開発会社「福井コンピュータスマート」との連携により実現。AIによる画像生成はボタン一つでさまざまパターンを提供することができ、空き家の可能性を視覚的に訴求することが可能となった。
5月27日には、町と同社による連携協定の締結式が行われ、河合永充町長は「AIを活用することで物件の価値を再確認できる。空き家の売り手や貸し手が一歩踏み出す後押しになれば」と期待を語った。
移住促進にも期待 AI導入が呼ぶ利便性と課題
生成AIによる空き家ビジュアライゼーションは、物件の販促力を高めるだけでなく、空き家問題に悩む地方自治体の有力な打開策となる可能性がある。
閲覧者にとっては、現況写真だけでは伝わりにくい将来像を直感的に把握でき、購入や移住の意思決定が促進される。
また、同サイトには福井県立大学の学生が制作した地域生活情報のウェブマガジンも掲載されており、物件だけでなく暮らしの魅力も包括的に伝える仕掛けが施されている。
移住希望者にとっては、生活環境のイメージがつかみやすくなるという副次的効果もある。
一方で、生成AIによるビジュアルはあくまでイメージであり、実際の施工内容やコストとは乖離する可能性が高い。
現状では「理想と現実のギャップ」を埋めるための運用ガイドラインや補足情報の充実が課題といえるだろう。
しかし、空き家対策が深刻化する中で、視覚情報の力を最大限に活用した今回の試みは、他自治体への波及効果も大きいと考えられる。
テクノロジーと地域課題の融合による新たな可能性が、静かに広がりつつあるだろう。
「空き家メタバンク」Webサイト:https://akiyametabank.com/eiheiji/