全ての祖である“Satoshi Nakamoto”の論文を振り返ろう
この記事では、改めて今のweb3ブームの元となった論文及びビットコインを振り返ります。うろ覚えになっていたweb3事業者の方はもちろん、最近web3へ興味を持った方はぜひこの機会にweb3の起源について勉強してみてください!
Bitcoin:A Peer-to-Peer Electronic Cash System
有名な話ですが、現在のweb3(ブロックチェーン)ブームの元祖はビットコインであり、そのビットコイン誕生のきっかけとなったのはSatoshi Nakamotoという人が書いた「Bitcoin:A Peer-to-Peer Electronic Cash System」という論文です。
2008年に発表され、デジタル通貨の技術的詳細を説明しました。
この論文では、ブロックチェーンを使用して、すべてのトランザクションを記録し、二重支払いを防止する分散型のトラストレスなシステムが提案されました。このシステムにより、銀行のような中央集権的な仲介者が不要で、ユーザーはグローバルで支払いを送受信することができます。
また、ユーザーが複雑な数学問題を解決して新しく作成されたビットコインを受け取るために競争するマイニングの概念も紹介しました。このシステムにより、ユーザーはネットワークを維持し、トランザクションを検証し、ブロックチェーンのセキュリティと信頼性を確保するように動機付けられます。
この論文がきっかけとなりビットコインが生まれ、その後にイーサリアムなどの他の暗号資産が誕生し、現在のweb3のムーブメントに繋がっています。しかし、Satoshi Nakamotoの正体は謎に包まれています。Nakamotoが個人であるのか、グループなのかもわかっていません。現在までに「俺がSatoshi Nakamotoだ!」という人は何人も現れましたが、確定的な証拠は出てきていません。
しかし、この論文が全ての元となったことは紛れもない事実です。日本語訳もされており、全13ページで読むことができる論文なので、まだ読んだことがない方はぜひこちらから一度読んでみてください!
ビットコインの特徴と変遷
では、ビットコインの特徴と変遷も簡単に振り返ってみます。
特徴
- 分散型で運営
- グローバルに送受信ができるデジタル通貨
- 約10分に一回、マイニング実施
- コンセンサスアルゴリズムはPoW
- 2,100万BTCまでと発行条件が決まっている
- 発行上限に達するのは2140年頃
- 約4年に一度、”半減期”が存在し、マイニング報酬として支払われるビットコインが半分になる(次回の半減期は2024年)
変遷
ざっくりですが、その変遷を解説します。
- 2008年11月1日、Satoshi Nakamotoが論文を発表
- そこから、論文に興味を持った有志で開発が開始される
- 2009年10月5日、オンライン取引所でビットコインが販売され、初めて経済的な価値がつく。
- 2010年5月22日、ピザ2枚を1万ビットコインで支払う人が現れ、初めて通貨として機能する。(今でも5月22日もビットコインピザデイとして祝う人もいる)
- 2017年8月1日、スケーラビリティ問題に端を発し、ハードフォークが実行される。ビットコインとビットコインキャッシュに分裂。
- 2023年現在。
2014年からになりますが、その価格の推移を紹介します。2018年から2019年にかけてビットコインにもバブルが訪れその価格が大きく高騰しました。その後、2022年3月のウクライナショックによって他の暗号資産と同様に大きく下落し、現在は1BTC=280万円前後となっています。
展望は?
ビットコインはすべての租であり、常に暗号資産業界において時価総額1位に輝き続けています。
しかし、技術上の課題も存在しています。その大きなものがスケーラビリティ問題です。現在もPoWを採用しており、通貨として機能するにはあまりにも承認に時間がかかります。また、消費電力が大きいことも問題として挙げられています。
ライトニングネットワークなど、ビットコインにおけるスケーラビリティ問題を解決するために様々なプロジェクトが稼働していますが、ビットコイン自体は”通貨”としての機能よりも”デジタルゴールド”として呼ばれ始めています。
日常使いする通貨やアプリケーションはイーサリアムを始めとした、新世代ブロックチェーンが賄い、ビットコインは資産価値のある”金”としてのポジションを築いていくと考えられています。
その理由は、まずそもそもビットコインはイーサリアムのようなスマートコントラクト機能など、大量のトランザクションに耐えうる構想ではなかったため、技術的には未熟である点が挙げられます。なので日常使いするチェーンとしては不向きであると見られています。
そして、2,100万枚という発行上限があることで、発行数が限られている資産として価値が色褪せない”金”と同様の性質を持つため、デジタル上の金、これからの時代のデジタルゴールドとしてビットコインが機能するのではないかと言われています。
整理すると、ビットコインは今後も成長を続け、その性能を補完する周辺プロジェクトもアップデートし続けますが、そもそもの構想的に普段使いの通貨やアプリケーションの基盤とはならず、デジタルゴールドとして機能していくと予想されています。
筆者自身もこの意見には概ね賛成です。
しかし、最近になってビットコイン上にNFTを構築できる「Bitcoin Ordinals」が誕生し、Yuga LabsもOrdinals上にNFTをミントするなど、大きな盛り上がりを見せています。資産として機能していくと思われていたビットコインにこのような動きが現れたことは、ビットコイン自体の可能性を大きく広げる出来事となりました。
これからもOrdinalsは盛り上がっていくと思われますが、やはり膨大なトランザクションを処理できるほどの性能にはまだ達していないので、デジタルゴールドとして機能していく方向はそこまで変化しないのではないかと筆者は考えています。
いずれにせよ、すべての元となったビットコインの動向は全web3事業者にとって目が離せない出来事ですので、これからも引き続き注目していきます。
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参考文献
- サムネはUnsplashより
- Bitcoin:A Peer-to-Peer Electronic Cash System