Qwen2.5-Max登場で生成AI競争の新局面　中国AIは「米国一強」の構図を揺るがすのか

中国アリババが2025年1月28日、最新の生成AIモデル「Qwen2.5-Max」を発表した。これは、同国のDeepSeekが展開する「V3」を超える性能をうたうモデルであり、米国主導の生成AI市場に強い影響を与える可能性がある。
米国が半導体輸出規制を強化する中、中国は独自の技術革新で対抗しており、AI競争が新たな局面を迎えている。アリババの動きは、中国が生成AI分野で主導権を握るための重要な一手となる可能性が高い。

アリババのQwen2.5-Maxが示す中国AIの台頭

Qwen2.5-Maxの登場は、中国のAI技術が米国に匹敵する水準に達しつつあることを示している。このモデルは、超大規模なMixture-of-Experts（MoE）(※)アーキテクチャを採用し、20兆以上のトークンを用いた事前学習を実施。さらに、監督型微調整（SFT）と強化学習（RLHF）を組み合わせ、自然言語処理やコーディング、視覚的理解において高い性能を発揮する。

ベンチマークテストでは、DeepSeekの「V3」を超える結果を示した。特に、大学レベルの知識を測るMMLU-Proや、コーディング能力を評価するLiveCodeBenchで優位性を示している。
さらに、Qwen2.5-Maxはマルチモーダル対応を強化することで、画像や動画の理解・生成能力を向上させることに成功した。これは、中国企業が低コストかつ高性能なAIモデルを開発する能力を持ち始めたことを意味し、米中AI競争のパワーバランスが変化する可能性を示唆している。

※Mixture-of-Experts（MoE）：複数の専門家モデルを組み合わせ、タスクに応じて最適なものを選択するAIのアーキテクチャ。高効率な学習が可能。

米中AI競争の加速と今後の展望

米国は2025年1月にAI関連の半導体輸出規制をさらに強化し、中国のAI技術発展を抑制しようとしている。しかし、中国は独自の半導体技術開発を推進し、重要鉱物の輸出制限といった対抗策を講じており、規制の影響を最小限に抑えようと画策中だ。

中国国内では、アリババのQwen2.5-MaxとDeepSeekのV3が市場でしのぎを削り、技術革新が加速している。特に、マルチモーダル対応の強化や低コスト化が進んでおり、これによりグローバル市場での競争力が高まると考えられる。

一方、米国はAI技術の安全性を重視しながらも、国内のAI研究開発への投資を拡大している。今後は、米国企業が規制の影響を受けつつも、どのように競争力を維持するかが重要な課題となるだろう。中国がこのまま生成AI分野で主導権を握るのか、それとも米国が新たな戦略を打ち出すのか、2025年はAI競争の転換点となる可能性が高い。

米中の競争は今後も激化すると考えられる。特に、Qwen2.5-Maxのような中国発のAIモデルが世界市場での影響力を増すことで、AI業界の勢力図がどのように変化するのかについては注視する必要があるだろう。