【まとめ】OpenSeaの設立から現在までを振り返る
今やweb3業界の誰もが知る世界最大のNFTマーケットプレイス「OpenSea」を改めて振り返ってみます。設立背景から現在に至るまでの変遷、そして最後は競合マーケットプレイスに触れながら展望について考察します。
OpenSeaの基本情報
- 設立日:2017年12月20日
- ファウンダー:Devin FinzerとAlex Atallahの2人
- 拠点:アメリカ(ニューヨーク)
- 主な収益源:NFT取引時の手数料2.5%
- 時価総額:約1兆5,400億円(2022年1月に、その評価額で資金調達を実施)
- NFTの販売種類:
Art、Collectibles、Domain Names、Music、Photography、Sports、Trading Cards、Utility、Virtual Worldsの9種類 - 対応チェーン:
Ethereum(イーサリアム)、Arbitrum(アービトラム)、Avalanche(アバランチ)、Klaytn(クレイトン)、Polygon(ポリゴン)、Optimism(オプティミズム)、Solana(ソラナ)、 BNB Chain(BNBチェーン)の8チェーン。
2022年12月時点で、NFTマーケットプレイスとして世界最大規模であり、世界のNFT市場を牽引する存在となっている。
OpenSeaの現在までの変遷
ここから、創業から現在に至るまでの主なトピックを整理していきます。
○設立
OpenSeaは、デヴィン・フィンザー(Devin Finzer)氏とアレックス・アタラ(Alex Atallah)氏という2人の共同創業者によって設立されました。
共に大学時代からいくつかのサービス開発経験と成功経験を持っていました。当初は「WiFiスポットをシェアして暗号資産を稼ぐことができる」WifiCoinというアイディアでY-Combinatorのプログラムに参加していましたが、その頃に話題となったCryptokittiesに刺激を受け、NFTへの可能性を強く感じ始めます。そこからすぐにアイディアをピボットし、OpenSeaを設立しました。
※2人の共同創業者のキャリアはANOBAKAの「OpenSeaの創業ストーリーと2人の共同創業者」が非常に参考になるので、ぜひご覧ください!
○冬の時代とNFTブームの到来
2017年の設立から数年間はNFT自体の市場が盛り上がることは少なく、厳しい時代を過ごしました。しかし、2021年のBeepleやジャックドーシーのTweet落札、CryptoPunksやBAYC等の爆発によって、全世界的にNFTブームとなり、取扱高が一気に急増しました。
○資金調達の履歴
OpneSeaは全7回、合計427.2Mドル(約560億円)の資金調達を行ってきました。
初回のプレシードラウンドは2017年12月20日の設立からわずか2週間後の2018年1月4日にY-Combinatorが出資していました。その後も複数回の資金調達を経て、最新シリーズCラウンドは2022年1月5日、評価額133億ドル(約1兆5,400億円)で、3億ドル(約374億円)の資金調達を発表し、未上場ながら時価総額1兆円を超えるデカコーン企業の仲間入りを果たしました。
○機能追加
細かいアップデートまで網羅はできませんが、公式ブログやTwitter、ニュースを見ながら主なアップデートを列挙します。
■機能アップデート
- 2018年06月:オファー機能を実装
- 2018年10月:ハンドル(まとめて販売)機能を実装
- 2019年02月:オークション機能を実装
- 2019年09月:ERC-1155 アイテムの取引機能を実装
- 2022年06月:バックエンドを刷新し、プロトコルをWyvernから自社開発のSeaportに移行
- 2022年08月:コレクションページに各コレクションの販売数、各コレクションのリスト数、ユニークオーナーの割合の表示が開始
- 2022年09月:NFTレアリティツールのOpenRarityを実装
- 2022年11月:コピーミント防止機能を大幅アップデート
- 2022年12月:「タグ」と「新カテゴリー」を追加
■チェーンの対応変遷
- 2017年12月:Ethreum
- 2021年03月:Klaytn
- 2021年10月:Polygon
- 2022年4月:Solana
- 2022年9月:Arbitrum、Optimism
- 2022年10月:Avalanche
- 2022年11月:BNB
■ロイヤリティ問題
2022年11月頃に巻き起こった「クリエイターのロイヤリティ」に関する問題は別記事で解説していますので、ぜひこちらご覧ください!
OpenSeaの競合と今後の展望
ここまで、OpenSeaの基本情報と変遷を見てきましたが、最後に展望について考察します。今尚、OpenSeaは世界最大のマーケットプレイスの1つですが、競合となるマーケットプレイスも急成長している状況です。
2022年5月にはSolanaのNFTマーケットプレイス「Magic Eden」が取引件数が「OpenSea」を上回りました。取扱高はまだOpenSeaの方が高かったのですが、取引件数だけでもOpenSeaを超えたことは大きなニュースとなりました。
下の図を見てもらっても分かる通り、OpenSeaの一強だったところから、徐々に分散されてきました。特に「LooksRare」が台頭してきています。
「LooksRare」は2022年1月からサービスを開始した分散型のNFTプラットフォームです。中央集権的な運営を行っているOpenSeaに対して、LooksRareはコミュニティーを重視した開発と運営を目指しています。
2021年6月16日から12月16日の期間中にOpenSeaで3ETH以上の取引をした人に対して、独自トークン「LOOKS」をエアドロップしたり、取引手数料をOpenSeaの2.5%より安い2%に設定したりと、OpenSeaからのユーザー獲得を狙っています。この攻撃方法はヴァンパイアアタックとも呼ばれています。
OpenSeaの現状を整理します。
OpenSeaの売上は取引手数料なので、OpenSea上で取引するNFTが増えれば増えるほど成長していきます。ただ、上で見てきた通り、OpenSea以外でNFTを取引するプロジェクトや人が増えています。その主な理由は4つです。
- 2.5%の手数料が高い
- 中央集権的な運営への懸念や嫌悪感(ロイヤリティ問題や共用コントラクト問題など)
- 対応チェーンが少ない(現在はマルチチェーン対応となり、だいぶ解消されている)
- プロジェクト独自でのNFTマーケットプレイスの設立ハードルの低下
よって、手数料が安いマーケットプレイスか、BAYC等のブルーチップNFTがプロジェクト独自のマーケットプレイスへ移行し始めました。OpenSeaへの掲載を止めることはありませんが、独自マーケットプレイスや他のマーケットプレイスとの併用によって、取扱高は減っています。
ただ、今は世界的にNFTが冬の時代に突入しており、そもそものNFT市場全体の取扱額が縮小しています。なので、一概にOpenSeaの成長に翳りがあるとは言えないと感じています。やはり、圧倒的なユーザー数と知名度、そして資金量を持っているので、今後もNFT市場を牽引していく存在であることは間違いありません。
個人的なOpneSeaの展望としては、「OpenSeaに払う手数料 < 集客や独自サイトに使う費用」となり続けるように認知度の拡大は購入UXの最適化を図ると共に、「誰を大事にするのか(クリエイター?短期トレーダー?)」を決め、そこに沿った運営やアップデートをしていくことに尽きると考えています。
引き続き注目していきたいです!
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参考文献
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