OpenAI、過去最大級約6兆円の資金調達を発表 データセンター強化でAI開発を加速へ

米OpenAIは2025年3月31日、AI向けデータセンター整備などを目的として400億ドル(約6兆円)の資金を新たに調達する計画を発表した。
ソフトバンクグループが主要な出資者となり、非上場企業として世界屈指の企業価値を記録している。
企業価値3000億ドルへと急成長 背景にある技術進化と利用者拡大
OpenAIは、対話型AI「ChatGPT」の開発企業として知られ、近年急速に存在感を高めている。
今回発表された資金調達額は400億ドルに上り、そのうち約300億ドルをソフトバンクグループ(SBG)が拠出する見通しだ。調達は年内の完了を目指して進行中である。
企業価値は昨年10月時点で1570億ドルだったが、現在は3000億ドルへと倍増した。
この成長は、AI分野に対する市場の期待の高まりと、ChatGPTをはじめとする生成AI技術の広がりによるものと考えられる。
特に週あたりの利用者数が、2023年11月の1億人から5億人へと拡大したことは大きい。
OpenAIの競合にはGoogleやMicrosoftが存在するが、彼らも同様にAI開発へ巨額の投資を行っている。
これに対し、OpenAIはSBGという強力な支援者を得ることで、独自の成長路線を確保しつつあるといえるだろう。
データセンター強化で未来のAI基盤を構築へ SBGとの連携が鍵に
調達された資金は、主にAI処理のためのデータセンター整備に充てられる予定である。
OpenAIは今後4年間で5000億ドル規模の設備投資を見込んでおり、AIモデルの高性能化と同時並行でインフラの拡充を進めていく方針を示している。
これは、AIのさらなる普及と高度化に不可欠な基盤整備と位置づけられるだろう。
今回の巨額資金調達によって、OpenAIはAI開発の根幹を支えるデータセンターの強化を加速できる。
AIモデルは進化のたびに膨大な計算資源を必要とするため、インフラ整備は不可欠である。
さらに、ソフトバンクグループという強力な出資者を得たことにより、OpenAIは上場せずとも資本力を拡大できる道を確保した点も注目に値する。
一方で、今回のような過去最大級の資金調達にはリスクも伴う。
まず、OpenAIの企業価値が短期間で倍増している現状に対しては、過剰評価との懸念も拭いきれない。
さらに、SBGが投資先に大きく依存する傾向が強まれば、外部環境の変化が連鎖的に影響を及ぼす可能性も高い。
OpenAIは声明の中で「全人類に利益をもたらすAIの開発に引き続き取り組む」としており、今後の開発ビジョンは社会全体への還元に重きを置いたものとなる見通しだ。
AIが日常に溶け込み始めている今、その基盤を支えるインフラ整備がどれほど重要であるかを示す動きになるだろう。