Nvidia、これまでで最大の6000億ドル(約93.8兆円)の下落　中国のAI企業DeepSeekが原因か

2025-01-28

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米国株式市場史上最大規模の時価総額下落を記録したNVIDIA。
その背景には、中国AI企業DeepSeekの台頭という予想外の展開があった。2025年1月27日、NVIDIAの株価は一日で17%下落し、時価総額にして約6000億ドル（約93.8兆円）という過去最大の損失を記録した。新たなAI企業の登場により、AI市場における競争が激化し、既存の市場構造を覆す可能性まで生まれた。

株式市場に激震、中国AI企業の台頭で揺らぐNVIDIAの優位性

NVIDIAの株価急落は、単なる一社の問題ではなく、AI市場全体に波紋を広げている。NASDAQ指数は3.1%下落し、データセンター関連企業にも大きな影響が及んだ。特にDellは5.8%以上、Oracleは14%の下落を記録し、AI市場全体が大きく動揺している。

この急落の直接的な引き金となったのは、中国のAI企業DeepSeekによる新たなAIモデル、およびサービスの発表である。同社は、NVIDIAが中国向けに性能を制限して提供しているH800チップの簡易版を使用し、わずか2ヶ月という短期間で、600万ドル未満という低コストで高性能な言語モデルの開発に成功した。

H800チップは、NVIDIAが中国市場向けに開発した、米国の輸出規制に対応したAI向けGPUで、倍精度計算能力も言語モデルのトレーニング効率も最新のものに劣っている。しかしDeepSeekは、NVIDIAの最新チップではなく、性能を制限されたチップでも、効率的な活用方法次第で、高性能なAIモデルが開発できることを実証したのである。これによって、NVIDIAの高性能チップへの依存度が下がる可能性が高まり、NVIDIAの圧倒的なGPUシェアに対する懸念が生まれた。

DeepSeekが示した新たな可能性

DeepSeekは、AI市場における競争環境を大きく変える可能性がある。
同社の開発したモデルは、無料でオープンソースとして公開され、さらに十分な性能を持つとされている。特に数学や論理的推論のタスクでは、一部のベンチマークテストでChatGPT-4を上回る結果を示した。高性能かつ無料のdeepSeekは、App Storeでは早くもOpenAIのChatGPTを上回る人気を獲得。ユーザーはサブスクリプション料金を支払うことなく、高度なAI機能にアクセスできるようになった。

市場専門家からは、このようなオープンソースモデルの台頭により、AI開発の効率化とコスト削減が進み、有料サービスを提供する既存企業の収益モデルに大きな影響を与える可能性があるとの見方が示された。特に、企業向けAIソリューション市場において、価格競争が激化する可能性が指摘されている。

NVIDIAの株価は2023年に239%、2024年に171%という急激な上昇を記録しており、この高騰の背景には「AI市場における圧倒的なシェア」という市場の期待が織り込まれていた。同社の時価総額は一時、アップルを抜いて世界最大となる3.7兆ドルにまで達していた。

しかし、DeepSeekの成功は、制限された性能のチップでも効率的な活用が可能であることを示し、この「圧倒的なシェア」という前提を揺るがすことになった。つまり、投資家たちは、NVIDIAの製品がAI開発において「必須」ではなく「選択肢の一つ」となる可能性を意識し始めたのである。この認識の変化が、株価の大幅な調整につながったと専門家は分析している。