NTTファシリティーズ、生成AI時代の冷却ニーズに応える「DC Cooling Hub」開設へ

2025年4月15日、NTTファシリティーズは東京都武蔵野市に空調技術の検証施設「DC Cooling Hub」の開設を発表した。
生成AI時代に対応したデータセンターの冷却問題に取り組む見通しである。
生成AI時代に不可欠な空調技術の検証拠点が誕生
NTTファシリティーズが開設する「DC Cooling Hub」は、生成AIの普及に伴い急増するデータセンター需要に応じ、空調技術の最適化を目的とした拠点である。
設置場所は東京都武蔵野市で、施設内には空調機器の運転を実際に行える検証環境が整備されている。
地下には冷却用の二次配管、スキッド型CDU(冷却分配ユニット※)、リアドア型空調機が導入され、リアルな熱環境下での性能評価が可能になっている。
さらに、外気冷房併用型や水冷型(下吹き・壁吹き・横吹き)の空調機器も運用され、多様な機器による比較や組み合わせ検証が行えるのが特長だ。
屋上には、オイルフリーチラーやハイブリッドドライクーラーといった最新熱源設備が配備され、環境負荷を抑えつつ高効率な冷却を実現する技術の検証が進められている。
この施設は、性能検証だけでなく、トラブル時の原因解明や構築・保守を担う技術者の育成にも活用される。
実際の運転環境での訓練が可能なため、現場で即応できる人材の育成が期待されている。
また、2025年5月中旬以降には、データセンター事業者や施工会社に向けたショールーム機能も追加される予定だ。
※CDU(Cooling Distribution Unit):
データセンターにおける冷却水の分配を行う装置で、冷却効率の向上やスペースの最適化に寄与する。
サステナブル技術導入と今後の展望
DC Cooling Hubが特に注目されるのは、環境への配慮を前提とした設計思想にある。
空冷パッケージエアコンやチラーには新冷媒対応の機器が採用されており、地球温暖化係数(GWP)が低い冷媒を用いた実証が進められている。
これにより、温室効果ガス排出の削減と、高効率な運用の両立を図る狙いがある。
NTTファシリティーズのプロダクト部長である由佐氏は、「今後も継続的な設備投資を行っていく」と述べ、今後の発展についても意欲的な姿勢を見せた。
DC Cooling Hubの開設は、国内にデータセンター冷却の拠点ができたという意味では、戦略的にも意義深い。
環境負荷の低減など現代的な要求にも応えられているといえよう。
一方で、高度な検証環境や多様な機器を保有・運用するためには、高額な初期投資と維持費がかかることはリスクである。
ショールーム機能によって需要側への訴求力を高める計画はあるものの、それが十分な収益源になるかは不透明だ。
冷却技術は今後、単なる機器選定ではなく、社会課題に応える戦略的要素として進化していく可能性があり、国内拠点として重要な役割を担うことに期待がかかる。