日本初のAI法案が衆院通過　今国会で成立へ

2025年4月24日、日本の衆院本会議で「人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律案（AI法案）」が可決された。
この法案は、AI技術の開発促進とリスク管理の両立を目的としており、今国会での成立が見込まれている。
法案には、首相を本部長とする「AI戦略本部」の設置が盛り込まれ、日本のAI政策の司令塔としての役割を担うことになる。

AI法案の概要とその背景

AI法案は、AI技術の研究開発と活用を推進するとともに、生成AIの急速な普及に伴うリスクへの対応を目的としている。法案の中心には、首相を本部長とし全閣僚で構成される「AI戦略本部」の設置が据えられており、政府の司令塔機能を強化する狙いがある。
この本部は、AIに関する基本計画の策定や、国家レベルでの統一方針の打ち出しを担うことになる。

また、法案では、AIによって国民の権利や利益が侵害される事態が発生した場合、国が調査を行う権限を持ち、調査結果に基づき事業者への指導や助言、国民への情報提供を行うとされている。
著しい人権侵害が確認されたり、指導しても改善がみられない悪質な場合は、事業者名を公表する仕組みも盛り込まれている。

この法案は、2025年2月28日に閣議決定され、4月18日に衆議院内閣委員会で可決された。自民党や立憲民主党などの賛成多数で成立し、今後は参議院での審議を経て、今国会中の成立が有力視されている。

国際的な背景と今後の展望

日本のAI法案は、欧州連合（EU）の包括的なAI法規制に続くものであり、国際的なAI政策の動向と連動している。

EUのAI法は、人工知能の社会的分類の禁止や公共場所での顔認識の制限など、より具体的な規制を含んでいるのに対し、日本の法案は、過度な規制を避け、リスクが高い分野について民間事業者と情報共有する方針を採っている。

このようなアプローチは、イノベーションの促進とリスク管理のバランスを図るものであり、日本が「最もAIを開発・活用しやすい国」となることを目指している。
政府は、AI法案を中心に「世界のモデルとなる制度」を構築し、国際競争力の向上を図る方針とみられる。

今後は、参議院での審議を経て法案が成立すれば、具体的なガイドラインや業界向けの指針が整備され、日本企業のAI活用が安全性と透明性を備えた形で推進される環境が整う見込みだ。