NEC、生成AIと購買データを融合した新ソリューション「BestMove」提供 意思決定の質を変えるAI活用

NECは2025年5月27日、生成AIと消費者購買データを組み合わせた新たなマーケティング施策立案ソリューション「BestMove」を発表した。
同サービスは6月16日よりクラウドサービスとして提供され、5年で150社導入・30億円の売上を目指すとしている。
NEC、マーケティング施策をAIで支援する新サービスを開始
NECが新たに発表した「BestMove」は、マーケティング施策における立案の精度と効率を飛躍的に高めるクラウドソリューションである。
生成AI技術と消費者購買データを融合し、施策立案から効果予測までを一貫して支援する。
本サービスの中心となるのは、高精度な顧客分析と施策の比較機能だ。NEC独自の「消費者属性拡張技術(※)」により、購買履歴から導き出した詳細な人物像を抽出。「○○が好きな人達」など、自然言語で柔軟にターゲット層を設定できる点が特徴である。
また、施策案の提示に際しては、売上や認知度、集客効果などの指標で複数プランを比較する「ディシジョンボード」を提供。担当者は、具体的な数値をもとに最適なプロモーション手法を選択できる。
さらに、施策立案のプロセスを蓄積・共有できるデータベースも用意されており、属人化しがちな業務の標準化や、若手社員の育成にも寄与するとしている。
提供価格は月額30万円(税別)から。顧客の規模や利用状況に応じて柔軟に変動する価格体系を採用している。
意思決定の質とスピードに変革、AI活用の浸透なるか
BestMoveの導入により、マーケティング業務の意思決定は一層の迅速化と精緻化が期待される。
従来、経験や勘に頼る場面の多かった施策立案プロセスが、データとAIによって定量的に裏付けられるようになるからだ。
一方で、AIによる施策提案が万能とは限らない。施策の成否は市場やタイミング、顧客心理など定量化が難しい要素にも左右されるため、人間による最終判断の重要性は依然として高いと考えられる。
また、高度なデータ活用が前提となるため、導入企業には十分なデータ整備と運用リテラシーも求められるだろう。
とはいえ、BestMoveの登場は、企業のマーケティング活動における「意思決定の民主化」に向けた重要な一歩と見なせるだろう。
意思決定の裏付けとなるデータと、それを扱うAIの整備が進めば、属人的な業務構造は徐々に再構築されていくと考えられる。
今後は、生成AIによる施策立案だけでなく、クリエイティブ制作や広告コピーの自動生成、カスタマージャーニー全体の自動最適化といった領域にも応用が広がると予測される。
BestMoveは、その入り口としての位置づけを持つ可能性が高い。
※消費者属性拡張技術:購買データに基づき、年齢や性別だけでなく、趣味・嗜好などの推定属性をAIで高精度に推定するNEC独自の技術。施策の精度向上に貢献するとされる。