MicrosoftがAIエージェント相互運用プロトコル「A2A」対応を発表

米Microsoftは2025年5月7日(現地時間)、Googleが推進するAIエージェント相互運用プロトコル「Agent2Agent(A2A)」を、Azure AI FoundryとCopilot Studioで正式にサポートすると発表した。業界横断の相互運用性を可能にする重要な一手だ。
MicrosoftがA2Aを採用する理由 エージェント相互運用性がもたらす新たな可能性
A2Aとは、異なる開発者が構築したAIエージェントが「共通言語」を用いて情報をやりとりし、協調的にタスクを遂行できるようにする技術である。従来の閉鎖的なエージェント環境とは異なり、エージェント間の壁を取り払えることが特徴だ。
今回、MicrosoftはAzure AI FoundryおよびCopilot StudioにA2Aを統合することで、開発者がより柔軟かつ拡張性の高いAIシステムを構築できる土壌を整備した。
Microsoftはさらに、GitHub上のA2Aワーキンググループにも参加する意向を示している。プロトコルそのものの標準化や開発支援を通じ、エージェント技術の基盤作りにも積極的に関与する構えだ。
Microsoftのサティア・ナデラCEOもA2Aの意義に言及し、「A2AとMCP(Model Context Protocol※)は、エージェントウェブを実現する鍵となる。」と語った。相互運用性が前提となる次世代AI環境では、こうしたオープンプロトコルが必須になるとの認識が広がりつつあるようだ。
進むオープン化、広がる選択肢 AIエコシステムが迎える次のステージ
A2A対応により、MicrosoftのAIプラットフォームは単独での完結を目指すのではなく、外部ツールとの連携を前提とした設計思想へと大きく舵を切ったと言える。
開発者にとっては、Copilot StudioやAzure AI Foundry上で構築したエージェントを、他社の製品やクラウド基盤と組み合わせて運用できるという点で、大きなメリットとなるだろう。
企業にとっては、異なるツールを併用する環境でも、AIエージェント間の連携が可能になるため、導入ハードルが下がると思われる。
将来的には、A2Aに対応したエージェントがネットワーク上で「協働」する構図が現実味を帯び、業務効率化や意思決定の高速化につながるだろう。
ただし、現段階ではA2Aの仕様や実装方針が変動する可能性もあるため、開発側には継続的な情報収集と柔軟な対応力が求められる。相互運用性を確保するための開発ガイドラインやツールの整備も急務だ。
Microsoftは今後も、A2Aの普及に向けた技術支援やガバナンス形成に貢献する姿勢を強めると見られる。
エージェント同士が連携し、AIシステム全体が協調的に機能する「エージェントウェブ」実現への道筋は、確実に現実へと近づきつつある。
※MCP(Model Context Protocol):AIモデルの実行コンテキストを記述・共有するためのオープンプロトコル。エージェントが一貫した動作を行うための土台を提供する技術仕様。