「米国製」仮想通貨ETF、トランプ氏のTMTGが2025年後半に展開へ

2025年4月22日、米国のトランプ・メディア・アンド・テクノロジー・グループ(TMTG)は、仮想通貨取引所Crypto.comおよび資産運用会社Yorkville America Digitalとの間で、フィンテック部門「Truth.Fi」を通じた一連の上場投資信託(ETF)および投資商品の提供に関する最終合意に達したと発表した。
「メイド・イン・アメリカ(米国製)」をテーマにした仮想通貨ETFを2025年後半に国際市場で展開する計画だ。
TMTGが進める仮想通貨ETF事業
トランプ大統領のSNSプラットフォーム「Truth Social」を運営するTMTGは、2024年1月には金融サービス部門「Truth.Fi」を立ち上げ、事業多角化を進めている。
今回の仮想通貨ETF(※)は、その第一弾ともいえるプロジェクトだ。
ETFの構成は、米国で開発・上場された仮想通貨関連株式、主要な暗号資産であるビットコイン、さらに複数のアルトコインを含む予定であり、「米国製」に強く焦点を当てた設計となる。
販売はCrypto.comのブローカーディーラーであるForis Capital US LLCが担当し、米国のみならず欧州、アジア市場へと展開される。
TMTGは最大2.5億ドルの自社準備金を投入予定であり、その資金はチャールズ・シュワブ社を通じて保管される。
発売は2025年後半を見込んでおり、米国証券取引委員会(SEC)などの規制当局による承認が前提条件となる。
この戦略は、TMTGにとって金融サービス市場への本格参入であると同時に、トランプ氏のアメリカ第一主義を経済政策にも反映させる試みと見てよい。
CEOのデビン・ヌネス氏は「アメリカ経済とデジタル資産の両方が大きな成長を遂げると信じる投資家にETFを提供することを楽しみにしている」と語っている。
※ETF(上場投資信託):
証券取引所に上場されている投資信託。株式のように売買可能で、多様な資産に分散投資できる商品。
政治と市場を横断するTMTGの戦略と展望
TMTGの仮想通貨ETF構想には、単なる金融商品の枠を超えた政治的文脈が存在する。
トランプ政権は、仮想通貨に対して積極的な姿勢を示しており、今回のTMTGの動きも、トランプ氏の政治的ブランド戦略の一環とも解釈できる。
「メイド・イン・アメリカ」を前面に掲げたETFは、経済的ナショナリズムとデジタル金融の融合を図るものであり、保守的な投資家層にとっては共感を呼ぶ要素になり得る。
一方で、仮想通貨市場そのものが規制強化の流れにあり、SECの審査によっては発売が延期または変更されるリスクも否定できない。
マーケティング面では、TMTGが有するメディアプラットフォームを通じた認知拡大が見込まれる。
Truth Socialなどでのプロモーション展開は、他のETF提供企業にはない独自のアドバンテージだ。
とはいえ、金融商品としての健全性や透明性が問われる中、実際に投資家の信頼を得られるかは今後の動向にかかっている。