2026年6月25日、岡山県倉敷市は、市民課への問い合わせに24時間365日対応する「AI音声電話」の運用を2026年7月1日から開始すると発表した。市民の利便性向上と電話混雑の緩和を目的とした取り組みで、住民異動や各種証明書、マイナンバーカードなど市民課業務全般の問い合わせにAIが自然な音声で応答する。自治体窓口にもAI活用が広がり、行政サービスのデジタル化が一段と加速しそうだ。
AIが市民課の電話対応を24時間365日担う
倉敷市が導入したAI音声電話は、対話型AIを活用し、市民からの質問に音声で自動回答するサービスである。利用者は専用番号へ電話をかけ、音声ガイダンスに従って質問するだけで必要な案内を受けられる。
対応する内容は、転入・転出・転居などの住民異動、住民票や印鑑証明、戸籍証明書の交付、マイナンバーカードの申請・受け取り、国民年金手続きなど、市民課の主要業務を幅広くカバーする。回答に関連する市ホームページのURLはSMSで送信されるため、通話後も内容を確認しやすい点が特徴となる。
また、AIでは対応できない相談や個人情報を含む問い合わせ、職員との通話を希望する場合は、平日の開庁時間内に担当職員へ転送される仕組みを採用した。AIと人による対応を組み合わせることで、利便性と行政サービスの品質を両立させる狙いがある。
問い合わせは、専門ダイヤル「050-3499-0208」にて受け付ける。
行政DXを後押しする一方、人による対応との両立が課題
今回の取り組みは、問い合わせが集中しやすい引っ越しシーズンなどでも待ち時間を減らし、市民が時間帯を問わず必要な情報を得られる環境づくりにつながる。職員側にとっても定型的な電話対応の負担が軽減され、より複雑な相談や窓口業務へ人的資源を振り向けやすくなるだろう。
一方で、行政手続きには個別事情を踏まえた判断が必要なケースも少なくない。AIによる案内だけでは解決できない問い合わせや制度変更への迅速な反映など、継続的な運用改善は欠かせないだろう。
自治体では人口減少や職員不足への対応が喫緊の課題となっており、AIを活用した行政DX(※)は全国へ広がる可能性がある。ただし、市民が安心して利用できる仕組みを維持するには、AIと職員がそれぞれの強みを生かす役割分担が今後ますます重要になると言えそうだ。
※行政DX:デジタル技術を活用して行政サービスや業務を効率化し、住民の利便性向上や行政運営の高度化を目指す取り組み。