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東京都、「行政特化型国産AIモデル」構築へ 最大1.1億円投資で“説明できるAI”実現目指す

PlusWeb3 編集部
PlusWeb3 編集部 Web3・AI専門メディア

2026年5月18日、東京都とGovTech東京は、行政業務向けの国産AIモデル構築に向け、大学など研究機関の公募を開始した。最大1億1000万円を投じ、行政特有の専門用語や法令に対応した高精度AIの実証を進める。生成AI活用が広がる中、自治体でも「正確性」と「透明性」を重視した独自AI基盤の整備が本格化し始めた。

東京都、行政専用AIを大学と共同開発へ

東京都は今回、「大学等と連携した行政特化型国産AIモデルの構築・実証事業」を開始し、共同研究を担う大学や研究機関の公募を始めた。採択予定は1者で、協定期間は2026年7月頃から2028年3月末までとなる。2026年度には最大1億1000万円が投じられる計画だ。

背景にあるのは、生成AIの急速な普及と行政利用における課題である。現在の大規模言語モデルは汎用性が高い一方、行政文書や法令特有の表現に十分対応できず、事実と異なる内容を生成する「ハルシネーション(※)」が発生しやすい状況にある。

特に行政分野では、住民サービスや権利義務に直結する判断が多く、誤情報は大きな混乱につながりかねない。

これらの要因から東京都は、回答根拠や判断過程を追跡できる「説明可能性」を重視したAIモデル構築を掲げている。

今回の事業では、東京都が行政データや対象業務を提供し、GovTech東京がAI基盤の構築や運用環境整備を担当する。研究機関側はAI技術や学術知見を提供し、三者協定の形で実証を進める構想だ。

東京都の生成AI基盤「A1(えいいち)」とのシステム連携も予定されており、将来的には都庁全体の業務効率化へ発展する可能性がある。

※ハルシネーション:生成AIが事実ではない内容をもっともらしく出力してしまう現象。

自治体AI競争が加速 “国産化”は新たな政策領域に

今回の東京都の動きにより行政専用AIを自治体主導で整備する流れが広がれば、単なる業務効率化にとどまらず、日本でも「公共AIインフラ」の競争が始まる可能性がある。

これまで自治体の生成AI活用は、海外企業の汎用モデルに依存するケースが多かった。しかし行政情報には機密性の高いデータも含まれるため、海外クラウド依存への懸念は根強い。セイキュリティリスクや運用の柔軟性で優る国産モデルを整備することで、データ管理やセキュリティを国内主導で完結させたい狙いがあると考えられる。

一方で、行政専用AIには課題も存在する。行政文書は制度改正や法改正の影響を頻繁に受けるため、モデルの継続的な更新が不可欠になる。加えて、透明性を確保するほどシステム構造は複雑化し、開発コストや運用負荷が増大する可能性もある。

生成AIを「便利なチャットツール」から「行政判断を支える基盤技術」へ進化させようとする試みは大きな意味を持つと言える。今後は東京都の実証結果をきっかけに、中央省庁や他自治体でも行政特化型AIの導入検討が広がる展開も考えられる。

AI競争の主戦場は、民間サービスだけでなく公共インフラ領域へも移行し始めていると言えそうだ。

東京都 報道発表

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