2026年4月9日、米Googleは「Gemini」アプリにおける音楽生成AI「Lyria 3 Pro」の提供範囲拡大を発表した。これまで一部法人向けに限定されていたが、「Google AI Plus」など個人プランにも開放され、生成AIによる音楽制作の裾野が大きく広がる見通しである。
Lyria 3 Pro、個人含む広範プランに開放
今回のアップデートにより、「Lyria 3 Pro」はビジネスやエンタープライズに加え、個人向けの「Google AI Plus」などでも順次利用可能となる。従来はBusiness StandardやEnterprise Plusなど一部上位プランに限られていたが、Starter系や教育向けの基礎プランにも拡張される形だ。
同モデルは2026年3月に発表された音楽生成AIで、最大3分の楽曲を一括生成できる点が特徴となる。従来の生成モデルが短尺BGM中心だったのに対し、構成や展開を持つ「1曲単位」の制作が可能になった点は大きい。ユーザーはジャンルやテンポ、楽器構成などを細かく指定でき、クリエイティブな制御性も強化されている。
Googleは「Gemini」を中核にマルチモーダル戦略(※)を加速させており、今回の機能拡張もその一環と位置づけられる。
※マルチモーダル戦略:テキスト、画像、音声、動画など複数のデータ形式を統合的に扱うAIの開発・活用戦略。単一の形式にとどまらず、横断的な理解と生成を可能にする点が特徴。
“誰でも作曲”時代の到来と価値の再定義
Lyria 3 Proの一般開放は、音楽制作の民主化をさらに推し進めるきっかけとなるだろう。専門的な知識や機材がなくても楽曲生成が可能になることで、マーケティング用途や個人クリエイターの表現手段としての活用が一気に広がると考えられる。
一方で、既存の音楽産業への影響も無視できない。生成された楽曲の著作権帰属やオリジナリティの担保、既存楽曲との類似性などは依然として議論の途上にある。特に商用利用の場面では、AI生成物の法的整理が進まなければリスク要因となる可能性がある。
今後は、生成AIを前提とした制作フローが標準化し、人間の役割は「創る」から「選び、編集する」方向へシフトするとも見られる。
Googleの今回の動きは、音楽を含むクリエイティブ領域全体の価値定義を再構築する契機になると言える。
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