JR九州電気システム、データセンター事業に初参入 久留米市で建設開始、2027年春に稼働へ

2025年10月29日、JR九州電気システム株式会社は、福岡県久留米市でモジュール型データセンターの建設を開始したと発表した。2027年3月に完成を目指し、4月から運用を開始する予定で、JR九州グループとして初のデータセンター事業となる。
生成AIとクラウド対応、地域分散型DCで九州を新拠点に
JR九州電気システムが建設する新データセンターは、生成AIやクラウド向けのインフラ需要拡大を見据えた設計となる。
建設地は福岡県久留米市で、モジュール構造の1階建て、延床面積は約180㎡、総受電容量として1MWを確保できる施設となる。
利用者がサーバーやネットワーク機器を設置・運用する「コロケーション(※)」形態でサービスが提供される予定だ。
施設の企画・開発は、みちびき株式会社が担当する。
また、JR九州が九州新幹線沿線に敷設した光ファイバー網を活用し、高速・低遅延の通信環境を併せて提供する。
JR九州電気システムは今回の事業を「都市部に集中するデータセンターの分散化に寄与し、地域社会を支えるデジタルインフラの整備を推進する取り組み」と位置づけている。
※コロケーション:利用者が自社サーバーや機器をデータセンター内に設置し、電力・空調・通信などの環境を共有して運用するサービス形態。
地方分散で高まる期待と課題 AIインフラ競争の新局面へ
今回のJR九州グループによる参入は、地方のデータセンター整備に新たな流れを生む可能性がある。
特に、生成AIの学習や推論処理を支える中規模拠点としての機能が期待できそうだ。
一方で、地方立地ゆえの課題も残る。
大手クラウド事業者や企業ユーザーの誘致には、電力単価や回線品質だけでなく、運用ノウハウと信頼性の確立が不可欠だ。初期投資に対する収益化までの期間も長いため、持続的なビジネスモデルの確立が鍵を握るだろう。
それでも、鉄道インフラを背景に光ファイバー網を持つJR九州グループの特性は、他事業者にはない強みとなり得る。
交通・通信・エネルギーを横断した地域型インフラ事業として展開できれば、AI時代の分散型ネットワーク形成における重要拠点となるだろう。



	







