KDDI、AI開発クラウド「KDDI GPU Cloud」提供 大阪堺データセンターGPU活用

2025年10月28日、KDDIは「大阪堺データセンター」を活用した新クラウドサービス「KDDI GPU Cloud」を発表した。
2026年4月1日に正式申込受付を開始し、同年1月下旬からトライアル提供を始める予定だ。
NVIDIA最新GPUを採用、企業向けAI基盤をオンデマンド提供
KDDIが発表した「KDDI GPU Cloud」は、大阪府堺市に新設される「大阪堺データセンター」を基盤とする法人向けクラウドサービスである。2026年4月から本格運用を開始し、1月下旬よりトライアル提供を行う計画だ。
同データセンターには、NVIDIAの「GB200 NVL72」が導入される。
サーバーを1台単位からクラスター単位まで柔軟に利用できるため、ユーザーは初期投資を抑えつつ、必要な計算資源をオンデマンドで確保できる仕組みだ。
たとえばモビリティー分野では、走行データや個人情報を活用して自動運転モデルを学習・検証できるほか、医療・金融・法律といった機密性の高い領域でも、AIモデル開発に利用できるという。
この「KDDI GPU Cloud」は、2026年1月に稼働予定の「大阪堺データセンター」で提供される最初の商用サービスとなる。
また、現在、同サービスは東京・高輪ゲートウェイシティで開催中の「KDDI SUMMIT 2025」で展示されている。
国内AI開発の裾野拡大に期待、コストと競争が次の焦点に
KDDI GPU Cloudの登場は、国内企業のAI開発を後押しする追い風になるとみられる。
これまで、自社で高性能GPUを導入するには多額の設備投資が必要だったが、クラウド経由で必要な時に必要な分だけ利用できることで、中小企業やスタートアップでも高度なAI開発環境にアクセス可能となるだろう。
特に、生成AIやLLM(大規模言語モデル)のトレーニングを国内データセンターで完結できる点は、データローカリティと法的ガバナンスの両面で安心材料といえる。
一方で、課題も少なくない。
高性能GPUを稼働させるための電力・冷却コストは依然として高いため、利用料金が海外クラウドと比較してどの程度の競争力を持つかは未知数だ。
また、生成AIの需要増により、GPU供給が逼迫するリスクもある。
さらに、マイクロソフトやアマゾン、NTTなども同様のAIクラウド基盤を強化しているため、企業選択の分水嶺は価格だけでなく、通信品質やサポート体制、国内法準拠性など総合的な要素に移ると見られる。
それでも、国内通信大手が自前のインフラでAI開発基盤を整える意義は大きい。生成AIの社会実装が進む中では、国産クラウドの存在は注目を集めそうだ。











