データセクションと東急不動産、再生可能エネルギーでAIデータセンター提携

2025年10月17日、データセクション株式会社と東急不動産株式会社は、AIデータセンター事業における包括的業務提携に向けた覚書を10月8日付けで締結したと発表した。エネルギー問題や地域分散を軸に、環境配慮型の次世代AIインフラ構築を目指す。
AIと再エネ融合の新たな挑戦、石狩で次世代データセンター構築へ
今回の覚書は、東急不動産が推進する「インダストリー事業領域」における戦略的な一手となる。
同社は、データセンターのエネルギー消費拡大を背景に、再生可能エネルギーの活用と地方分散による持続可能なインフラ構築を目指してきた。特に、北海道石狩市で展開中の「石狩再エネデータセンター第1号」では、再生可能エネルギー100%による運用を実現しており、地域共生型の事業モデルとして運用されている。
データセクションは、AIワークロード向けに特化したGPUクラスター運用の最適化技術を持ち、独自アルゴリズム「TAIZA(タイザ)」により、大規模AIモデルの学習・推論基盤を効率的に構築する強みを有する。
両社は今後、環境に配慮した次世代AIデータセンターの開発・運用を共同で推進する方針だ。
データセクションは石狩再エネデータセンター第1号を活用し、AIインフラ基盤の整備を本格化させる意向を示しており、東急不動産グループの再エネ事業との相乗効果が期待される。
地方分散と脱炭素の両立に期待 AI時代の新たなインフラ競争が加速
今回の連携は、AIの計算需要とエネルギー消費の両立という業界共通の課題に対する一つの解答になり得る。
再生可能エネルギーで運用される地方型データセンターは、都市部の電力負荷を軽減しつつ、災害時のバックアップ拠点としても機能するため、国土強靭化の観点からも意義が大きいといえる。さらに、寒冷地に立地することで冷却コストを抑制でき、エネルギー効率の向上にも寄与するとみられる。
一方で、地方立地には通信遅延やアクセス面での課題も残る。AI処理をリアルタイムで行う用途では、都市部との高速接続やネットワーク最適化が不可欠だと考えられる。両社の連携がこの技術的ハードルをどう克服するかが、モデル実証の成否を左右するだろう。
環境負荷を抑えつつAI計算能力を確保する動きは、今後の産業競争力にも直結する。
再エネとAIを融合した「分散型データセンター構想」は、脱炭素化とデジタル成長を同時に実現する鍵となるだろう。











