LayerX、AI活用「証憑取得エージェント」を導入 バクラクで経理DXを推進

2025年10月17日、株式会社LayerXはクラウドサービス「バクラク請求書受取」と「バクラク申請」において、新機能「証憑取得エージェント」の提供を開始したと発表した。AIが請求書や領収書などの証憑を自動で収集・管理し、経理部門の業務効率化を狙う。
AIが証憑を自動取得 多様な形式に対応し経理業務を効率化
LayerXが発表した「証憑取得エージェント」は、取引先から送られる請求書や領収書などの証憑をAIが自動で取得し、クラウド上に整理・格納する機能である。
対象はメール添付のPDFだけでなく、パスワード付きファイル、ログインが必要なWebサイト、さらには外部の請求書発行ツールにも対応。これまで人手に頼らざるを得なかった多様な形式の証憑処理を自動化できる点が最大の特徴だ。
同機能は「バクラク請求書受取」と「バクラク申請」に搭載される。前者はAI-OCR(※)によって請求書の内容を読み取り、会計ソフトに自動反映するサービスであり、後者は申請・承認・稟議などの社内ワークフローをデジタル化するプラットフォームだ。
今回の機能追加により、証憑の取得からデータ化、承認プロセスまでを一気通貫で処理できるようになった。
LayerXは本機能のほかに、申請レビューエージェントや仕訳エージェントなどのさまざまなAIエージェント群を提供している。
企業のバックオフィス業務は、AIが判断する業務に代替するフェーズへと移行しつつある。
※AI-OCR:人工知能を活用した光学文字認識技術。紙やPDFに記載された文字情報を自動で解析し、デジタルデータとして処理する仕組み。
経理DXの新段階へ 効率化の先にある“自律型AI”の可能性
証憑取得の自動化は、経理DXを推進する上で実務的なインパクトが大きい。
担当者はメールやポータルサイトを確認する手間から解放され、入力・照合作業に費やしていた時間を削減できる。結果として、経理部門は分析や意思決定支援など、より付加価値の高い業務にリソースを振り向けられるようになる。
また、AIの判断精度が高まれば、経費処理全体の最適化にもつながると考えられる。
一方で、自動化への依存が高まることによるリスクも無視できない。証憑のフォーマット変更や通信障害など、システムが想定外の状況に対応できない場合には、誤取得や漏れの発生が懸念される。今後はAIの監視体制や人による最終確認をどう組み合わせるかが、運用上の課題になるだろう。
とはいえ、経理業務の完全自動化は時間の問題であり、LayerXの動きは“AIが経理を運用する時代”の幕開けを象徴していると言える。
業界各社が同様のエージェント機能を導入すれば、企業会計のスピードと精度は飛躍的に向上し、企業経営の在り方そのものを変える可能性がある。











