三菱UFJ銀行、AI研修「iRolePlay」導入で人材育成を効率化

2025年9月8日、SCSKは、三菱UFJ銀行がAIを活用した対話型研修サービス「iRolePlay」を導入したことを発表した。同行は営業担当者を中心に利用を進め、人材育成の効率化と自律的な学習文化の醸成を目指している。
三菱UFJ、AI対話型研修で営業育成を刷新
三菱UFJ銀行は、インタラクティブソリューションズが開発したAIロールプレイングソリューション(※)「iRolePlay」を採用した。SCSKが2025年7月に国内代理店契約を結び、金融業界を中心に展開している。
同行は従来、上司や指導者との対面型ロールプレイ研修を重視してきたが、時間確保の難しさが課題となっていた。
新たに導入したiRolePlayは、営業担当者が「いつでも」「どこでも」AIと対話しながら実践的な訓練を行える環境を整える。
また「一問一答モード」では、金融商品の基礎知識から実践的な応答までをセルフラーニングで完結できる。これにより、新入社員や中途採用者の早期戦力化に寄与しているという。
今後は新卒やキャリア採用者に対象を拡大し、さらに拠点ごとの優秀人材の知識をコース化して共有することで、全社的な育成基盤の強化を図る計画である。
※AIロールプレイングソリューション:人工知能を用いて模擬的な対話や状況設定を行い、業務に必要な知識やスキルを習得する仕組み。従来の対面研修に代わり、反復学習や即時フィードバックを可能にする。
AI研修がもたらす効率化と課題、金融業界全体への波及も
iRolePlayの導入による最大の利点は、時間や場所の制約を超えて反復学習を可能にする点である。
AIによる標準化されたフィードバックは個々の習熟度に応じて柔軟に対応でき、従業員の自律的な学習姿勢を促進する。さらに、優秀人材の知見をデジタルアーカイブ化することで、知識が組織全体に浸透しやすくなる効果も期待される。
一方で、AIに過度に依存すれば、人間同士の対話で養われる交渉力や感情理解といったスキルが十分に培われない可能性がある。研修の高度化を実現するには、AIを補助的に活用しながら、対人ロールプレイの経験を併用することが不可欠になるだろう。
金融業界全体で同様の取り組みが進めば、教育の効率化と標準化が加速する半面、現場での多様な経験の価値が再定義される局面も訪れるとみられる。
AI研修が人材育成の主流となるかは、利便性と実践力のバランスをどう取るかに左右されると言える。