韓国空軍、AIで訓練システム刷新 コナンテクノロジーが主導

2025年8月18日、韓国のAI企業コナンテクノロジーは、国軍空軍戦力支援体系団が推進する「T-50系列 TIMS老朽装備交換事業」の主事業者に選定されたと発表した。老朽化した装備の交換に加え、高性能サーバーと先端AIを活用し、操縦・整備訓練の効率と安全性を向上させる。
コナンテクノロジー、T-50訓練機の統合システム更新を受注
コナンテクノロジーは、空軍主力訓練機T-50系列における統合訓練管理システム(TIMS ※)の更新事業を担い、空軍のデジタル転換と統合訓練品質革新を主導する。
契約規模は18億ウォン台で、2025年11月までの完了を目指す。
今回の更新は、性能劣化とセキュリティ上の脆弱性を抱えていた既存システムを全面的に刷新するものだ。老朽化した装備や分散した管理環境が、訓練の効率化と安全確保の課題として長年指摘されていた。
コナンテクノロジーはこれまで、空軍のAI基盤による航空機・乗務員・整備および保険(ACMI)体系の構築、韓国航空宇宙産業でのデータ移行技術の提供など、国防・公共分野での実績を積み重ねてきた。
2024年には「防衛産業革新企業100」に選定され、国防AIの先導企業としてAIパイロット開発やLIGネクスワンとの共同研究にも携わっている。
同社のキム・ギュフン国防AI事業部理事は、「システム分野の国産化や国軍向け生成型AI導入事業など、相次ぐ受注の成果は、我々の国防AIにおけるリーダーシップが証明された結果だ。先端AI基盤の統合訓練管理システム構築に拍車をかけていく」と述べている。
※TIMS:T-50系列統合訓練管理システム。訓練データを一元的に収集・分析・管理する空軍専用プラットフォーム。
AI活用で訓練効率向上へ 安全性確保と依存リスクが焦点
今回のシステム更新は、訓練データの集中管理による効率化や、サイバー防衛の強化につながる可能性が高い。また、仮想訓練の拡充により、実機稼働の削減やコスト最適化も見込まれる。
特にパイロットや整備員のシミュレーション訓練が高度化することで、実戦対応力の底上げに寄与するだろう。
一方でシステム障害時の依存リスクや、生成型AIによるデータ改ざんの脅威は無視できない。長期的には、AI基盤の標準化と持続的なメンテナンス体制の整備が不可欠となる。
韓国国内における国防AIの国産化は安全保障上のメリットをもたらすが、国際的な技術競争の中で競争力を維持するには継続的な投資と開発が求められると考えられる。