米シスコ、通期売上予想に慎重姿勢 AI需要期待の投資家に波紋

k2025年8月13日、米ネットワーク機器大手シスコシステムズが2026年7月期の通期売上高見通しを公表した。AIデータセンター分野の成長を期待していた投資家の一部では、予想が控えめであることに失望感が広がり、株価は時間外取引で下落した。
シスコ、AI分野の需要見込みも控えめな売上高予想
シスコが示した2026年7月期の売上高予想は590億〜600億ドルで、中央値の595億ドルはブルームバーグ集計のアナリスト予想平均と一致した。ただし、一部の強気な予想では610億ドル超が見込まれており、市場の期待値との乖離が生じた形である。
決算発表を受け、株価は引け後の時間外取引で下落した。
通常取引終値ベースでは年初来で19%上昇していたが、AIブームを背景に急伸した株価水準を、正当化するだけの成長確度を示せなかったと市場は受け止めた形だ。
慎重予想の裏にある成長戦略と課題
シスコが持つ既存顧客基盤を活用し、高付加価値のAI向けネットワーク製品を投入できる点は明確な強みであり、長期契約を通じた安定収益化も期待できるだろう。
一方で、競合他社による垂直統合型のAIインフラ開発や自社製ネットワーク機器導入が進めば、シスコの市場シェア拡大は制約される恐れがある。また、AI投資熱が落ち着けば需要の伸びが鈍化し、在庫リスクや価格競争圧力が高まる可能性も否めない。
それを踏まえると、AI分野が短期的に急成長するという過度な期待を抑え、段階的な収益化を見据えた今回の予想は、ある意味現実的な戦略ともいえる。
とはいえ今後は、AIインフラ需要に伴うネットワーク高度化ニーズは増すとみられる。
市場が求めるのは単なる出荷台数の拡大ではなく、AI時代に最適化された統合的ネットワークソリューションであると考えられるため、そうした需要を確実に取り込むには、技術革新とサービスモデルの両輪で顧客の変化に対応する必要がありそうだ。