「高度AI技術活用」を名目にしたSNS型投資詐欺 岩国の50代男性が800万円被害

2025年8月12日、山口県警岩国署は、SNS経由で知り合った人物から虚偽の投資話を持ちかけられ、岩国市在住の50代会社員男性が総額800万円を詐取されたと発表した。手口には高度な人工知能(AI)の活用をうたう説明が用いられていた。
高度AI活用を名目にしたSNS投資詐欺、4回送金で800万円被害
岩国署によると、男性は2月24日、SNSに表示された投資広告を通じて、証券会社の元社員や助手を名乗る人物と接触した。相手は「複数の投資分野に参入し、高度なAI技術を活用してデータサポートと分析を提供する」と説明。さらに「こちらが紹介した株式の銘柄で発生した損失は、全て補償サポートの対象となる」と強調し、信頼を得たとみられる。
その後、男性は専用アプリのアカウント作成と株式投資を勧められ、4月5日から5月13日にかけて4回にわたり指定口座へ現金を送金。合計800万円がだまし取られたという。
警察はSNS型投資詐欺(※)の増加に警鐘を鳴らしている。「必ず儲かる」などの文言は詐欺の典型例であり、安易に信用しないよう注意を呼びかけている。
最近は、AIや暗号資産など最新技術を名目にした虚偽説明が信用獲得の手口として使われるケースが増加している。
※SNS型投資詐欺:交流サイト上で接触した相手が虚偽の投資話を持ちかけ、金銭を詐取する手口。
AI名目の投資話 魅力と危険性、今後の対策は
AI技術の進化は投資分野にも革新をもたらし、データ解析や自動売買の精度向上により、個人投資家の判断を支援するサービスが増加している。
正規の事業者によるこうした仕組みは、取引効率の改善や市場アクセスの拡大といったメリットをもたらす。一方で、その専門性や技術的優位性が詐欺グループにとっては説得材料となりうるのが現状だ。
特にSNSを介した勧誘は、短期間で広範囲に拡散・接触できるため被害拡大のリスクが高い。匿名性や情報の非対称性が、被害者が異変に気づくタイミングを遅らせる要因にもなる。
今回の事案は、技術への信頼がそのまま金銭的リスクに直結する危うさを浮き彫りにした事件と言える。
今後は、利用者自身の自己防衛の意識向上が不可欠だ。また、SNS事業者や広告配信プラットフォーム側での事前審査や警告表示の強化も課題となる。
AIの進化は止まらないが、それを安全に正しく活用できる環境整備こそが急務である。
SNS型投資詐欺 | 警察庁・SOS47特殊詐欺対策ページ:
https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/sos47/new-topics/sns-romance/investment/