イプソス、AI動画広告評価ソリューションを提供開始 数分で反応を予測

2025年8月6日、フランスのマーケティングリサーチ大手イプソスの日本法人は、新たな動画広告評価ソリューション「Creative|Spark AI」の提供開始を発表した。AIが視聴者の反応を数分で予測し、迅速かつ客観的な広告評価を可能にする。
イプソス、AIで動画広告の効果を即時評価
「Creative|Spark AI」は、テレビCM、YouTube広告、SNS動画など多様なフォーマットで人の反応を予測するソリューションである。
評価には同社の既存サービス「Creative|Spark」の基盤に加えて、過去5年間にわたり収集した1万8000件超の人による評価データを活用する。
AIの予測精度と人間の感覚を融合させ、単なるスコア算出にとどまらない人中心のインサイトを提供できるという。
システムは分析AIと生成AIの二層構造を採用する。
分析AIは広告の視覚的・音声的特徴を分類し、ブランド独自性やカテゴリ特性を明確化する。
一方、生成AIは広告がもたらす体験や感情反応を主観的データとして分類し、効果の要因を抽出する。
同サービスはイプソスの生成AIプラットフォーム「Ipsos Facto」上で提供される。
広告評価の即時化がもたらす機会と課題
「Creative|Spark AI」の利点は、制作段階から改善を繰り返す、所謂「PDCA」の速度が格段に上がる点だろう。従来数日かかっていた評価時間を大幅に短縮できるため、迅速な意思決定が求められるマーケティング現場には適していると言えそうだ。
また、膨大な評価データに基づく分析は、従来の調査で見落としがちな細部の反応も可視化できると考えられるため、結果としてマーケティングROIの向上につながる可能性が高い。
しかし、AI評価はあくまで学習データとアルゴリズムに依存するため、文化差や市場特性によって予測精度が低下する恐れもある。特定条件下でのバイアスや誤判定を防ぐには、継続的なモデル更新と人による補完が不可欠だ。
今後は、AIによる即時評価と人間による質的調査をどのように組み合わせるかが成功の鍵となるだろう。
両者の長所を融合できれば、広告戦略の立案から実行までのプロセスは大幅に短縮され、日本市場における広告制作の在り方そのものが根本的に変化するかもしれない。