TOKIUM、AIで実質リース自動判定 2027年施行の新会計基準に対応

2025年7月31日、株式会社TOKIUM(トキウム)は、2027年に適用が始まる新リース会計基準に対応したAIエージェント「TOKIUM AI新リース判定」の提供を開始した。
契約書の自動分析で実質リースの判定を支援し、企業の監査対応を効率化する。
新リース基準に備えAIが契約書を判定 監査対応・データ連携もサポート
TOKIUMは、企業のリース取引に関する識別業務を支援するAIエージェント「TOKIUM AI新リース判定」の提供を開始した。対象となるのは、2027年4月1日以降の事業年度から強制適用される「新リース会計基準」への対応である。
この新基準では、原則すべてのリース取引をオンバランス処理とすることが求められるが、従来のように「リース」と明記された契約書だけでなく、「実質的にリースとみなされる取引(※)」も対象となる。そのため、企業は大量の契約書を精査し、該当する取引を個別に判定する必要がある。
こうした煩雑な業務に対し、同AIエージェントは契約書の内容を解析し、企業会計基準委員会が提示する複数の判断基準に基づいて自動で該当性を評価する。
結果とその根拠となった条文はCSV形式で出力できるため、会計監査への対応も効率化できる。
さらに、契約期間や金額などの属性情報もCSV形式で出力可能であり、各社のリース資産管理システムとのデータ連携も想定されている。紙の契約書についてはTOKIUM側がスキャン・データ化を代行するため、デジタル移行にかかる手間も軽減される。
※実質的にリースとみなされる取引:契約書に「リース」と明記されていなくても、資産の使用権の移転など、内容がリース取引と同等と判断される契約のこと。
リース会計の実務に変革も AI活用の普及は導入判断次第
TOKIUMの新サービスは、新基準適合へ向けた準備のみならず、リース会計におけるAI活用の実務的な可能性を広げるものであり、特に法務・経理部門の業務効率化が期待される。
企業側の最大のメリットは、契約書判定作業自動化による工数削減であろう。
特に契約数の多い大企業では、人手による仕分けや確認にかかる時間とコストを大幅に削減できる点が魅力的だ。
判定根拠を明示できることも、監査法人とのやり取りにおいて優位に働くだろう。
また、判定結果をシステムと連携させることで、リース資産の一元管理や財務報告書の正確性向上にもつながり得る。
紙契約書のスキャン代行など、デジタル化に不慣れな企業にも対応可能な設計がされている点も、導入障壁を下げる要素となるだろう。
一方で、AIによる判定が絶対的な判断を下すものではない以上、最終的な意思決定や監査責任は企業側に残ると思われる。過信すれば誤判定によるリスクが表面化する可能性も否定できない。
また、AI導入に対する組織内の理解や、既存システムとの調整も課題となるだろう。
今後は、他の会計業務にも同様のAI支援が広がる可能性があるため、TOKIUMのような先行企業の動向は注目できる。2027年の制度施行まで残された時間をどう使うかが、企業の会計DX(デジタルトランスフォーメーション)成否の分水嶺となりそうだ。