PFNが営業担当者向け生成AIを開発開始 ロールプレイでスキル均一化を狙う

2025年7月18日、人工知能(AI)開発大手のPreferred Networks(PFN、東京)は、営業ロールプレイに特化した生成AIプロダクトの開発を開始した。経営・DXコンサルティングのリブ・コンサルティングと共同で、日本企業の営業力強化を支援する。
PFNとリブ社、営業ロールプレイ特化の生成AIを共同開発
PFNは、深層学習(ディープラーニング(※))技術を中核とした生成AI製品群「PreferredAI」を展開し、幅広い領域で成果を上げてきた。
今回発表した営業担当者向けAIは、アバターとの対話を通じて実践的なロールプレイを可能にし、営業現場で課題となっているスキルの属人化や担当者による「ばらつき」の解消を狙う。
このプロダクトは、PFNが提供する採用支援AI「Talent Scouter」で培った対話シミュレーション技術を応用し、現場の営業パターンをデータ化する仕組みを備える。これにより、経験に依存していた顧客対応や交渉の手法を標準化することが可能だ。
さらに、共同開発を担うリブ・コンサルティングのノウハウを組み合わせ、営業プロセスの分析や業務フロー改善の視点をAIに組み込む。
PFNは導入企業ごとにAIをカスタマイズし、リブ社が従業員トレーニングやKPI(重要業績評価指標)のモニタリングを支援する。
※ディープラーニング:大量のデータから特徴を自動抽出し、予測や生成を行う深層学習技術。生成AIの基盤として幅広く利用される。
営業支援AIが拓く新市場 効果定着と現場適応が課題に
営業ロールプレイをAIで自動化する試みは、人材育成の効率化と均質化に大きな可能性をもたらすだろう。
対面研修やOJTに比べて時間や場所の制約が少なく、反復学習が容易になる点は企業にとって明確なメリットだ。特に、個々の営業担当者が持つトークスクリプトや成功事例をAIに学習させることで、チーム全体の底上げが期待できる。
一方で、現場での活用には懸念もある。
生成AIが提供する会話パターンは汎用的である反面、顧客ごとの微妙なニュアンスや複雑な交渉場面に十分対応できるかは、依然として課題になるだろう。AIを過信すれば、営業担当者が持つ本来の判断力や臨機応変さを損なう可能性も否めない。
今後は、AIと人間の役割をどのように補完し合うかが鍵になると思われる。
PFNとリブ・コンサルティングの取り組みは、国内企業における営業改革のモデルケースとなる可能性があり、成果次第では海外展開や新サービス開発にも波及するかもしれない。
いずれにせよ、技術に全てを任せるのではなく、実用的な部分を有効活用しつつ人間の柔軟性を活かすべき場所では従来方式を採用するといった「臨機応変さ」が求められると言える。