米地裁が再び和解申請を却下 リップルとSECの民事制裁金削減案が退けられる

2025年6月26日、米ニューヨーク州連邦地裁はリップル社と米証券取引委員会(SEC)が提出した共同和解申請を却下した。1.25億ドルの制裁金削減と差し止め命令の取り消しを求めた内容だったが、裁判所は「公共の利益に反する」としてこれを認めなかった。
制裁金60%減と差し止め命令解除の要求を却下
今回の判断を下したのは、XRPの有価証券性をめぐる審理を担当してきたアナリサ・トーレス連邦地裁判事である。リップル社とSECは6月12日、恒久的差し止め命令の解除とともに、1.25億ドルの民事制裁金を5,000万ドルに削減する共同申請を提出していた。
両者はこの申請を「例外的状況下における包括的な和解」と位置づけ、控訴手続きの終了と追加訴訟の回避を図った。
しかしトーレス判事は「再申請は何も変わっておらず、当事者もそれを装ってはいない。」と断じ、SECがリップルの将来的な違法行為の可能性に言及していた点も引き合いに出し、差し止め命令の解除には正当性がないと判断した。
さらに判事は、和解理由として挙げられた「例外的状況」といった主張についても、いずれも過去の執行措置の先例にはならないと述べ、申請内容の妥当性を否定した。
これにより、5月の却下に続いて2度目の否定判断が下されたことになる。
判決を受け、リップル社の法務責任者スチュアート・アルダロティ氏は「裁判所は2つの選択肢を提示した。機関投資家向け販売に関する認定への控訴を取り下げるか、控訴を続行するかだ」と語った。
また同氏は、「XRPの証券でない法的地位は変わらない」と強調し、通常業務を継続する方針を示した。
控訴か取り下げか 5年に及ぶ法廷闘争の分水嶺
今回の申請は、リップルがSECに支払う予定の制裁金の一部を返還する内容も含んでいた。エスクロー口座に預けられていた1.25億ドルのうち、2,500万ドルの返還を盛り込んでいたが、申請却下によりその実現も遠のいたと思われる。
一方、SEC側も近年の仮想通貨政策において一部譲歩姿勢を見せており、今回の和解案も業界全体との対立緩和を目的とした動きだったとの見方もできる。
しかし、地裁がこの動きを「公共の利益に反する」と判断したことで、規制当局のアプローチの限界も浮き彫りになった。
今後、リップルとSECは再び控訴審に進むか、申請を撤回して現行の判断を受け入れるかの岐路に立たされる。
2020年から続くこの訴訟は、仮想通貨の法的地位と規制の在り方をめぐる象徴的な事例であり、その帰結は業界全体にとっても大きな前例となるだろう。
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